後日、終業後にお酒を飲みながらのヴィッツ(長兄)とアウダクスの会話。
ヴィ「このあいいだの父上の護衛、問題無かったんだろうな」
ア「もちろん。いつもてこずるガストルニスも、ぱぱっと片付いたし、予定外に丘にもよったけど何事もなく……」
ヴィ「あの冒険者達、そんなに優秀だったか? っていうか、丘に? あそこはついていける者が少ないからって言ってるのに! おひとりで行かせたのか!」
ア「え? あー……ま、まあ、ほら、すぐ帰って来られたし……一人魔法陣使う子がいてさ。お前に見せたかったなぁ。変わった応用の仕方してて」
ヴィ「なに? 何故覚えてこない。というか、誰だ? あ、お前が面接したヤツか」
ア「まだ襲われてる間に消されたんだよ」
ヴィ「消された? 皮紙(かみ)じゃないのか?」
ア「それが、地面に直接さらさら~って描くんだよ! 鳥どもいなしながら!」
ヴィ「直で?」
ア「自分で魔力籠めて、使えるって便利だよなぁ。なんか、焔石代わりだって綺麗な金細工の陣も持ってて、ちょっと変わってて生意気なんだけど、それだけの実力はあるっていうか……」
ヴィ「……どこかで聞いたことのあるような人物だな」
ア「ヴィッツもそう思うか! いやあ、俺もそう思ったんだけど、どうしても誰か思い出せなくて。顔見てもさっぱり思い付かないし」
ヴィ「……ちょっと見優男で、女装しても似合いそうな」
ア「お。そうそう。背丈はあるから、迫力のある女になるだろうが……あれ? お前、会ってないよな?」
ヴィ「負けず嫌いで、努力家で、実力は誰よりあるはずなのに魔法が発動できない。生意気で腹立たしいのにどうしてか憎めない……」
ア「お。久しぶりに聞くなぁ。元気なのか? お前んとこの、末のおとぉ…………とお、あぁあ!!!?」
ヴィ「……ちょっと、詳しく聞かせてもらおうか」
さらにこの後、ヴィッツ(長兄)とヴァイスハイト(父)の一幕があるのですが、そちらは五章が終わった後でまた。