――紙の本を愛読する人達はネットの小説を読まない…よく聞く言葉です。紙の本こそが小説、素人が書いたネットの小説なんか小説じゃない…これもよく聞く。
確かにそれも一理あるでしょう。綺麗な文章、詩的な表現、重厚な情景描写や心理描写を読みたければデビューされているプロの作品を読むのが一番です。
でも私はいわゆる『ケータイ小説』に救われた経験があります。
お恥ずかしい話、私は数年前とてつもなく貧乏でそれはもう笑えないくらいに貧乏だった時、毎月の携帯料金すら払うのを苦労していた時期がありました。
その時期は好きな作家さんの新作を買うのも躊躇していて、本屋に行っても書籍を手に取るだけで我慢…今これを買ってしまえば明日の食費がなくなる…うう…我慢…
何度もそんな経験をしました。私が書店で本を選ぶ時に本当に自分にとってアタリだと思う本しか家に呼びたくないのはこの経験からきてるのだと思います。
紙の本が、全然、買えなかった。古本屋で100円プラス税で買える小説すら、買うのを躊躇していた。
そんな時、無料で読める小説がその頃の『ケータイ小説』サイトの小説でした。携帯料金を払うのも確かに苦しかったけど、払ってしまえばあと1ヶ月は携帯は繋がっているし、自分なりのネット時間の上限を決めて使えばそれほど問題はない。
携帯で手軽に読める素人が書いた無料のケータイ小説。生活が苦しかった私は物語の中に入り込んで現実逃避がしたかった。
私はケータイ小説に掲載されている自分好みの小説を読み漁った。気に入った作品は何度も何度も読み、お気に入りのキャラができるとそのキャラのことばかり妄想した。楽しかった。なんだか救われる気持ちだった。
WEB小説作家さんでWEB小説とケータイ小説は違う…と仰る方も何人か見ました。きっとその作家さん達にとってはケータイ小説はWEB小説よりも格下扱いなのかもしれません。
ケータイ小説なんてww…って。
でもケータイ小説のあの文化があるからネットで小説を書いて投稿する文化がここまで浸透してきたのかなとも思います。
まぁここに集う作家や読者以外の人達はネットに小説を投稿して無料で読めるサイトがあることすら知らなかったりしますよね。
紙の本以外は小説とは認めんぞ!な人と遭遇した時は(あ、この人はきっと紙の本を躊躇なく買えてしまうほどにはお金の苦労をしたことはないんだろう。心の声)と思っています。
……なにが言いたいのかわからなくなってきたぞ。
私はケータイ小説に救われたし、そんな風に誰かの救いや癒し、現実逃避の存在になれるのなら、紙の本もWEB小説もケータイ小説も関係ないよねって感じた話でした。