また昭和の名残りが去った。
高橋幸宏氏が逝去した。テクノポップという電子音楽と言われて世界的に評価された、YMOのメンバーだった。
ぼくはまだ高校生になるかならないかの頃だ。
しかしながらYMOにはさほどの興味がなかったが。
この『音楽殺人』には響くものがあった。
友人のレコード盤からコピーしてもらったカセットを、擦り切れるように聴いていた。
訃報を聞いて、物置の引越し段ボールを開いて探し回った。
別居、離婚、自宅の売却、独居と引越しを繰り返して、とうとう離島に流れ着いた。その度に荷物や家財は処分して、どんどん小さくなっていったが、あのアルバムのCDは取っていたはずだ。
タイムカプセルを開く心持ちがした。
久々に聴いた曲の抑揚の中に、高校生の気分が埋もれていた。