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ラヴクラフトとチェンソーマン

ツイッターを見たらアマゾンで田辺剛のコミカライズ『ラヴクラフト傑作集』の電書版が12巻まで99円でセール中とわかり、速攻で買った。
みなさんにもおすすめします。これはマスト・バイです。

自分の観察では九十年代末期ぐらいから日本のホラーはラヴクラフトの世界観に席巻された。
席巻の期間は長く、村上春樹までラヴクラフトを思わせる怪異を書く始末で、正直読む側としてはちょっと飽きた。
ラヴクラフト自身やリメイクに飽きたのではなく、その亜流に飽きたのだ。
そんなとき藤本タツキの『チェンソーマン』が登場した。

チェンソーマンが凄いのはラヴクラフトとはまったく無関係な恐怖の体系を作ったこと。
数十年間世界中の誰もができなかったことを、日本の若者があっさりやってのけた。
「概念が悪魔化する」
「概念に対する人々の恐怖の度合いで悪魔の強さも変わる」
という世界観は新鮮で、恐怖の世界に新しい風を吹き込んだ。

悪魔のルックもラヴクラフトの描く神々とはちがう。
チェンソーマンの悪魔は禍々しく、生々しいのにどこかポップだ。
この新しさに胸の乾く思いをした自分は「チェンソーマンの二部はつまらない」とか悪口をいわれると、大人げなくムッとするのである。

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