今年もクリスマスが近づいてまいりました。
例年長短いろいろなクリスマスストーリーをお届けしているんですが、今年はひっじょーに難航しまして。長編を仕立てようと思ってプロットを書いてはみたものの、ちっとも筆が進まず。(^^;;
急遽方針変更して、二万字ほどの短編を超特急で書き上げました。ががっと書き切ったのでかなり荒っぽい仕上がりになっていますが、どうかご容赦ください。
タイトルは『もう一つのクリスマスキャロル』です。
ご存知の方も多いと思いますが、『クリスマスキャロル』はイギリスの小説家ディケンズが1843年に発表した名作で、児童用に改訂されたり、コミカライズされたり、映画化されたりと、クリスマス定番ものの小説として広く読まれてきました。クリスマスというキリスト誕生の祝祭と荒廃した心の救済とを結びつけた話ですからかなり抹香臭く、必ずしもわたしの好みではありません。
ただし、字面を額面通りに受け取るかどうかで印象が大きく変わります。ディケンズはキリスト教の裏面を熟知していた人なので、盲目的にクリスマスを礼賛しているわけではなく、作品内に巧妙にメタファが仕込まれていると捉える向きもあるようです。
んでもってへそ曲がりのわたしは、ディケンズの小説をさらにぎゅうっとひねって援用してみました。だから『もう一つの』なんです。
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さて。短編なので事前のネタばらしは最小限にしますが、少しだけ。
動きが非常に少ない、地味なお話です。登場人物は最初から最後まで三人だけ。場所は固定で最後まで動きません。大きな出来事は何も起こりません。ほとんど全てが会話です。心理劇というほどの深さはありません。色気は全くありません。読後感は悪くないと思いますが、ヘンな話です。
こんなクリスマスストーリーがあってたまるものか! と、怒る人がいるかもしれませんが、まあそれはそれ。(^^;;
短編なので七分割したものを一日一話、プラスあとがきという形でお届けしてまいります。
ということで、明日からぼつぼつお届けしてまいります。ご笑読いただければ幸いです。