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KAC2024ひとり反省会

 KAC2024 ~カクヨム・アニバーサリー・チャンピオンシップ 2024~の募集期間が終わったので振り返りをしておこうと思います。

 こうした公式の企画に参加したのは初めてでしたが、数日間で作品を仕上げるのを繰り返すのはなかなか骨が折れますね。執筆速度を上げるいい訓練になっていればいいんですが。

 それでは一作品ずつ振り返っていきます。


第1回お題「書き出しが『○○には三分以内にやらなければならないことがあった』」
自由挑戦お題「全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ」

「ウェルカム・トゥ・バッファロー・パーティー」

 ええ、一発目からいいネタが浮かばなかったんですね。
 バッファロー小説が周囲で書かれているのに乗じて企画に参加しようとしたのですがいいバッファローが下りてこず、苦肉の策で「数日のうちにバッファロー小説が量産されている」この状況自体をネタにすることに(お題の書き出しはかなり無理やりクリアさせてもらいました)。
 せっかくなので長編次回作(仮題「灰より生まれ」)の主人公とヒロインを登場させて、近未来のアメリカの中学校を舞台にした短編に仕立てることに。なんだかヒロインより友達の方が目立ってましたが。……なぜこんな変な話に次作のキャラを?


第2回お題「住宅の内見」

「ジェイコブス・ラダー」

 全然内見が関係ないじゃねえか!とツッコミが来ないか冷や冷やしていましたが、一連の投稿作の中ではこれが一番読者の反応が良さそうでした。
 幽霊がいる部屋の内見→では幽霊が絶対いない部屋とは?という発想から生まれた話だったはず。
 軌道エレベーターに関する設定は以下のページ内の動画等を参考にさせていただきました。
https://www.obayashi.co.jp/kikan_obayashi/detail/kikan_53_idea.html
 幽霊?の設定に関しては、よくある「幽霊が見えるって言う人、関ヶ原の合戦跡地に行ったら武士の幽霊たくさん見えるの?」みたいな与太話から発想してますが、たぶんチャイナ・ミエヴィルの「基礎」という短編の影響も受けてますね。
 二人称の語りやラストの締め方も含めアイディアは気に入ってるんですが、この字数でやるには要素を詰め込みすぎましたね。4800字から7000字くらいに増やせれば見栄えもよくなったかなと……


第3回お題「箱」

「ヘリテージ」

 これはすんなり思いついたはず。箱→ギフトボックスからの発想。アイディアはシンプルですが4000字できれいにまとまっていて、一連の投稿作の中では一番欠点が少ない作品かと。たぶん昨年再読したテッド・チャン「息吹」の影響があります。


第4回お題「ささくれ」

「ワールド・ディストーション」

 はい、いいネタは何も浮かびませんでした(『山月記』の李徴が虎じゃなくパンダになって「笹くれ……」と言う話は浮かんだが、そこから何も発展しそうになかったので見送った)。
 仕方ないので構想だけがある長編(仮題「ブラインド・アサシン」)から主人公を借りてきて、作った傷口を広げる「別離(セパレーション)」という特殊能力を無理やりささくれと絡めることに。お題をクリアするのに手段を選ばないようになってますね……


第5回お題「はなさないで」

「マインスイーパー」

 震災関連の実話を元にした話を書こうとして着手していたのですが、こういう企画で短時間に書き散らしていい題材ではないと判断してボツに。時間がなくなったのでやむなく「鮮紅のロンギヌス」のロゼリアのある一日を描いた外伝に。地雷から足を「離さないで」。かなり強引にお題をクリアしようとしてますね……


第6回お題「トリあえず」

「世界の中心でXを叫んだトリ」

 何このお題……何?となりながら「鳥会えず」からTwitterの青い鳥を連想し、それと「取り合えず」の話を交差させようと思い立ち、「一つの世界から災いを放逐することで別の世界に災いが降りかかる」ハーラン・エリスンの(特にタイトルが)有名な短編を連想し、それのパロディ要素を入れることに。呆れるほど要素が渋滞した作品になりました。アイディアは気に入っているんですけどね。
 一応設定には色々な解釈ができるように作ったつもりですが、これは想像の余地を残しているというより読者への甘えになってますね。やはり4300字ではとても足りない。ちゃんとした作品に仕上げるには10000字は必要だったように思います。
 ところでこの6回目のお題まではタイトルを横文字にするという縛りでやっていたんですが、パロディタイトルにするためそれが続かなくなったので、こんなことならもっと早く日本語のタイトルを使えば良かった!と後悔。


第7回お題「色」

「カラフル」

 前回とちょっとネタが被ってるじゃねえかよえーッ!と言われそうでビクビクしましたが、鳥の方と話に繋がりはないです。
 奇妙な生態の人工生命の設定も、その中の一人との対話を通して人生の重大な決断をくだすラストも気に入ってはいますが、これもまあ明らかにやりたいことに対して字数が足りていない。6000字から10000字に増やせれば大分整ったはず。
 英題はキング・クリムゾンの曲名から取ってます。


第8回お題「めがね」

「君の瞳に恋してる」

 もうおわかりでしょうが、本当にネタが思いつかなくて……それが露骨に感じられる様はもはや味わい深いものがありますね。
 マスクを外せるようになった世界で目元を隠せるめがねが流行り……という設定はともかく、後半の強引な展開とラストの申し訳程度に伏線を張ったどんでん返しと、なかなか歪な一品になってしまいました。これは3000字から字数を増やしたとて何とかなる問題なのかというと……あとギャルの一人称語りということで、彼女が日常で使わなさそうな語彙を徹底して使わずに文章を書こうとしたのですが、これが思ったより難儀でしたね。
 タイトルと英題はあの有名な楽曲から。映画「ジャージー・ボーイズ」で原曲を聴いてから好きな曲なんですよね。


 振り返ってみると改めて実質一日や二日で短編を仕上げるのを繰り返したのはキツかった……去年のこの頃は『トゥモロー・ネヴァー・ノウズ』の校正作業の最終段階に入っていたんですが、実際KAC2024の方が大変だったくらいです。いい経験になりました。でも……次はやらねえぞ!(もう懲り懲りだ!)

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