深見萩緒

登場人物の思考や行動が常に「正しい」ことを求められがちな昨今、淡々と綴られる「正しくないけど、『こう』なんだ」という姿勢が魅力的。 多くの人には理解も共感もされないが、『こう』な…続きを読む

気品がありながらも鬱屈した世界観。上品で端正な文章が綴る、激動と激情。理知的で理性的な語り口でありながら、読み手の心情を揺さぶる技術。見事です。 (失礼な言い回しでしたらすみませ…続きを読む

失踪事件と無言電話。消えた人間と帰ってきた人間。現実と幻想。
様々な「ふたつの要素」が絡まり合い、そして綺麗にほどかれて紡がれていく。
とても美しい物語です。

良い感じに尖っていて好きです。

目的意識のはっきりした尖り、加害ではなく意思表示のための尖りは、見ていて気持ちのいいものがあります。

この男が自分でないと果たして言えるだろうか、と物寂しい気持ちになります。憤怒と悲壮すら切り刻まれ、平坦に慣らされていく過程の表現が見事でした。