〇テーマ
憧れの田舎暮らしは虫だらけ。
〇世界設定
現代。テレワークが普及した日本。
〇登場人物/キャラクター設定
主人公:男
三十前半。会社員。テレワークを機に、都内から郊外の田舎に移住する。虫が苦手。特にゴキさんが嫌い。
お姉さん
二十代半ばのお姉さん。主人公が越した田舎に生まれた時から住んでいる。両親から譲り受けた土地を利用し、山奥のレストランを経営中。
〇ストーリー
家賃八万、都内の1Kに暮らす主人公は、テレワークの普及を機に、憧れだった田舎へ移住する。
古民家をローンで購入した主人公は、引っ越し当日、胸をわくわくさせていた。しかし、その日の夜、彼の寝床に現れたのは、馬鹿でかいムカデだった……。
三十センチメートル以上のムカデに驚愕する主人公はあまりの大きさにびびり、一睡もせずに、夜明けを迎える。徹夜明けの早朝、主人公は近くの繁華街(といってもコンビニ一軒とスーパー一軒があるだけの田舎街)へ向けて車を走らせる。スーパーでしこたま殺虫剤を購入する主人公だったが、再び現れたムカデにはなんと、殺虫剤が効かなかった。
愕然とする主人公の目の前に今度はハチが飛来する。主人公はぎゃーぎゃーと騒ぎ立て、殺虫剤をまき散らし、ハチを殺す。息絶えたハチをよく見ると、それはミツバチだった。
主人公は周辺の森を散策し、ハチの巣を探し始める。近所でレストランを経営するお姉さんによれば、このあたりで養蜂は行われていないらしい。なので、自然にできた蜂の巣があるはずだった。
あちこち探しまわりようやくミツバチの巣を見つけた主人公は、小規模な養蜂を始め、虫嫌いだった主人公はミツバチを愛おしく感じるようになる。
虫にそれほど驚かなくなり始めた主人公の目の前に、ある日、天敵のゴキさんが出現する。硬直する主人公だったが、そこへ颯爽と現れたのは、殺虫剤が効かなかったあの馬鹿でかいムカデだった。そのムカデは何食わぬ顔でゴキさんを捕食する。
その姿を見て主人公は、意外な一面を見せたムカデぱいせんに尊敬の眼差しを向けるのであった。
(終)