🎅このお話はフィクションです。
『お日さまが足りないクリスマス』の一年後のお話です。
🎄
ついに来てしまった。
この問題から目を背け続けて早六年。息子のケンタは小学一年生になった。さすがにそろそろ向き合わねばならぬ。
私はケンタの澄んだ瞳を前に息を呑む。さあ、答えろ私。
「ねえママ、サンタさんって、本当にいるの?」
妊娠中は、「子供が産まれたら、最初からサンタさんはいない、と教えるんだ」と誓っていた。
しかしそれは無理だった。そう。「赤ちゃんがいてもお洒落インテリアはキープする」という誓いが、進撃のア●パンマンの前に屈したように。
気がつけば、夜中にケンタの枕元にプレゼントを置き、翌朝彼が驚く姿を録画しながら一緒に驚く、というイベントを楽しんでいる私がいた。
「どどどどうしてそんなことを訊くの?」
「今日ね、学校で、ヒロ君とサクラちゃんがケンカしていたの。ヒロ君が『サンタさんはパパだ』って言っていて、でもサクラちゃんは『サンタさんは外国に住んでいる』って言うんだよ。ヒロ君のマンションはセコムあるからサンタさんは入ってこられないって言うし、サクラちゃんはサンタさんから手紙貰ったって言うし」
全く世の親というのは、どうしてこうなるのが分かっているのにサンタさんを信じさせるのだろうか、と、頭にブーメランを刺しながら溜息をつく。
「ママ、サンタさんって、パパなの?」