このお話はフィクションです。
『お日さまが足りないクリスマス』の一年後のお話です。
🎄
ケンタの言葉を受けて思考を巡らせる。
今までは、サンタさんの存在を信じさせるような作り話を色々考えていた。
私は小説投稿サイト『カコヨモ』でファンタジー小説を書いているので、想像力はあるほうだと思う。だからサンタさんの話を即興で作るのはお手のものだ。
ちなみに小説は、コンテストに参加しても殆ど読まれない。
話が逸れた。
今まではそれでよかった。だがケンタは小学生。そろそろ現実を教えなければならない。
そこで悩むのが、いかに傷つけずに教えるか、だ。
今までのママの話は偽りだった、と告白するのだ。朝起きてプレゼントを見つけたときの高揚感は、虚構の上に成り立っていたと知らせるのだ。
それを知ったケンタの心を、私はきちんとケアできるだろうか。
「えっと、ケンタはどう思う?」
質問に「どう思う?」と返す。仕事をしていた時によく上司にそう返され、「分かんないから訊いとるんじゃ」と思っていたのを思い出す。
「ケンタは、サンタさんはパパだと思う? それとも違うと思う?」
「うーん。パパじゃないでしょ。だってパパのお仕事はサンタさんじゃないもん」
え、「サンタさんはパパ」って、そういう解釈か。これではまだ現実を教えないほうがいいのか……。
「でもねえ、サンタさんって、いない気もするんだよ。だってセコムがある家とか入れないもん。うーん、でも、寝ている間にプレゼントが置いてあるのが謎なんだよなあ」
ケンタの言葉の中に疑念と成長を読み取る。
腹を決める。今、このタイミングを逃せない。
私は努めて気軽な雰囲気を演じつつ、賭けに出た。
「それね、サンタさんの役をパパがやっていたの。ケンタが寝ている間に、パパがこっそりプレゼントを置いていたんだよ」