いやね、『オリジナル』って言葉は、すごく簡単に話が通じなくなるんですよ。
というのも、「原作・原文」という意味で使う場合もあるし、「原作・原文にはない」で使う場合もあるので。相反する意味なのに、一つの単語だから、伝える側と受け取る側で想定する意味が逆だと、全く通じなくなってしまうんですよ。
「この話って、オリジナルだから」(アニメ化した時のアニメオリジナル回のつもりで話している)
「えっ? オリジナルだと無いでしょ。」(原作にはこんな話無かったと話している)
なんていうかみ合わない現象が、簡単にできあがってしまうんです。
さすがにこれ、どっちかはおかしいんじゃないの? と思って調べてみました。
広辞苑(第五版)によると、意味は三つ。
“①独創的。特有の。”
ここから、原作にはなく、翻訳・アニメ化した時などに追加された独自の部分で使われるのでしょう。
“②原物。原型。特に、美術品・文芸作品の原画・原作・原典・原本。複製・模造品・翻訳などに対していう。”
こっちは、ガッツリ原作の方を指しています。
“③書きおろしの創作脚本・戯曲など。”
原作のないものって感じですね。「オリジナルアニメ」でのオリジナルはこっちですね。
英英辞典を見てみると、「最初の」というような意味もありました。「会社設立時のオリジナルメンバー」みたいな感じの使い方。
共通しているのは「今までにない」ということなのです。その「今まで」が何を示しているかで変わってしまう。うん、難しい。
結局、その時々で判断するしかないのですね。で、日本語はわりと省略してしまうから、その時々の判断が難しい。
「この日本語訳の歌詞って、ちゃんと訳している部分と、勝手に作っちゃってる部分があるんだよね。“〜〜〜〜”というところは、オリジナル」
なんて言われたら、原文(オリジナル)にある部分なのか、原文にはない独自の部分(オリジナル)なのか分からない。
ちゃんと、どっちのつもりで使っているか、分かるようにしておかないとダメですね。
なお、私は割と「原作・原文」派です。単に「オリジナル」って言われたら、最初に「原作・原文」だと思います。
「原作・原文にはない」という意味だったら、「アニメオリジナル」とか「日本版オリジナル」みたいに、手前に何かつけるよねって思うので、付いていなければ「原作・原文」と判断してしまうのです。