文野麗

蝶は魂の運び手とも浮気者の象徴とも言われている。

【殺し屋シリーズ第２弾】 田舎町のレストランで起こったある春の日の騒動。 KAC参加作です。 関連作品 「遥かなり、我がふるさと」 https://kakuyomu.jp/wo…

大陸の冬は乾いた寒さ。雪は降るというよりも、空から地面に向かって真っすぐに落ちてくる。 極東の異国の港町で小さなカフェバーを開いているわたしの店に、不意に幼馴染の秋人がやってきた…

忘れるために酒を流し込んだ。

鳳龍ひとり旅。ひょんなことから関わりあった小学生の女の子、莉乃とのショートストーリー。いじめを受けていた莉乃は学校に行きたくない、消えて無くなりたいと言う。そんな彼女に鳳龍がとっ…

長い旅の中で自分の形を手に入れる。

変化に取り残された哀れな化石。

少女は幸せな時間を取り戻したいだけだった。

もしもの話をしようと思う。

その日々に、慣れてしまわないように。

私たちはその日まで二人で一人だった。

その街では人の価値が数値化されていた。

その景色が好きだった。

　伊吹雅仁が親友の矢田君と酒を傾けていると、一人の女性がこう口を開いた。 「私、四年に一回、閏年の三月一日に死体が埋まっていないか土を掘り起こすんです」 　突然の言葉に思わず…

ファンは所詮ファンでしかないのか。

　凄い発見をしてしまった。 　若い学者の手は震えている。 　それは、教授や先輩に虐げられて来た彼にとっての起死回生の切り札になり得るのかーー？ 　もし、人間にソースコードが存在…

自分に振り向かない女を想い続ける男、夜の海に魅せられながらも男との関係を手放せない女。二人の男女の互いを想い合う胸の内を描いた切ないラブストーリー。

何を食べるかーー。 それだけじゃいけねえよ？ 大事なのは「どうやって食べるか」なんだよ。

その幸せは罪の味がした。

居場所は楔、自分という存在をそこに縛るための楔なのだ。

私の形を決める布は解けた。 現れたのは不恰好な私だった。

ある時、体と心がばらばらになって動けなくなった。その最中で、私は私の背中を見る。ふと目をやった本棚に、かつての同級生が送ってきた詩集が目に入る。

彼女は病室の天使、死にゆく者に夢を与える。

青春はいつ終わるのだろう。 頭の中に響くのはあの頃の懐かしい音だった。

若き修道士のサピエンチアは、傲慢で次第に孤立を深めていく。新たに説教を任された土地で、サピエンチアはカリタスと出会ったのだ。

その仕事は相反する二つの面を持っていた。

夫婦の真剣勝負シリーズ第８弾！ 「あなたが物語に行き詰っているのは、奥様の真実の心から目を背けているからではないですか？」 ある夜夫の前に現れた妖精はずけずけと夫に言った。 動…

幼き日の憧れに灰色を贈る。

たとえばざわめきにいながらして、取り残されている。人の間にいながら、独りぼっちである。

2〜3分程度で読める、独立した話を集めた短編集です。 日常の中の些細な出来事を描いたり、前作よりも広く表現していきたいです。

音楽室で、友だちが腕を切っていた。 殺したい。息苦しい現実の中でフルートを吹きながら、二人は共に願った。 現に秘せられた、幻覚のような傷と音色の青春。中学三年生の夏。 ＊一般的に…

人影は黒く深い海、波にさらわれ消えていく。

その道を、日常を外れた先に。

「誰かを好きになって恋をして、誰かに好きになられて、セックスして、結婚したい。ただの、そこらへんにいるひとりの女として。こんな日にはチョコレートを贈りたいし贈られたいし、ただの友…

取り残されたガラクタは天国を望む。

追って咲く後の花にその声は届かない。

そこは楽園であった。

小さな相談室には今日も多くの悩みが集まる。

母の死んだ姉には、登美子というひとり娘がいた。

私は愛が欲しかった。

あ

主人公の北倉は罪を犯した。

蕾は花に恋をしていた。 しかし、蕾は告白を選ばなかった。

私という者ができるまで。

「子どもがね、このマークってなんなのって聞くのよ。ショックよね」 困ったように美雪は言った。でも幸せそうだった。

嘉与子が水を飲むところを、私は見たことがない。 もっとも、それに気がついたのは随分あとになってからだった。

私は静かに立ち続ける。

「あんたの貞操って、つまらないのよ」 聡子はそこで、自分の奥が凍りつくのを感じた。