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『ブンダヒシュン』ではインドラは魔王子に次ぐ地位

ペルシャ神話で古代では『アヴェスター』という除魔書に魔王と7大魔の脅威から除く呪文が書かれているんですが中期ペルシア語では『ブンダヒシュン』という本にまとめられています。『ブンダヒシュン』とはゾロアスター教の百科全書だと思ってください。その本によると魔王の中の魔王アンラ・マンユがトップなのはともかく3番目になんと「インドラ」と書かれているんです。2番目に悪しき意思という意味のアカマナフを創造し6柱の大天使に対応するべく
・アンダル(インドラ)
・サルワ(インドのシヴァ神の事)
・ノーンハスヤ
・ザリチュ
・タルウィ
とこの順で書かれているんです。暗黒竜の渇望でインドラが真・ラスボスなのは当たり前なのです。ノーンハスヤは後に善の神に戻ります。インドだとアシュヴィン双神でギリシャ神話だとあの双子座(弟カストール・兄ポリュデウケース)に相当する存在になります。ローマ神話では「ジェミニ」と言います。我々日本人にとっては一般的に車の名前にもなった「ジェミニ」の方が有名ですね。なぜかペルシャ神話ではノーンハスヤは双子じゃないんですけどね。

後世は「ノーンハスヤ」という言葉が除かれアンラ・マンユの息子アジ・ダハーカの方がはるかに上の格になるので魔王とその息子の次に来るのがインドラという事です。アカマナフは下の位置に行きました。アカマナフの代わりにドゥルジ・ナースという例のハエの悪魔が来ることもあります。ノーンハスヤことハルワタートは医薬の神様です。医薬の神が悪魔にされるのは前代未聞ですが実はこの時毒草を作るザリチュが一瞬だけ外されノーンハスヤになっていたことがあったのです。毒と薬は紙一重って事???

インドラはインド神話では須弥山に住むとされてるのですが須弥山とはカイラス山の事だとされます。カイラス山はヒマラヤ山脈にあって案外ニューデリーに近いです。カイラス山は入山禁止の聖地です。カイラス山北側はもう中華人民共和国のチベットです。須弥山(スメール山)は『マハーバーラタ』の最後のシーンでも有名ですね。この辺は古代においてペルシャ系民族とインド系民族が激しく何度もぶつかった場所なのでゾロアスター教を信仰するペルシャ人にとっては「ラスボスが居る山」でしょうね。インドラはこの須弥山の頂上にある善見城に居るとされます。


なおインド神話ではインドラはアスラ系の神々にさんざん打ち負かされた上にバラモン教からヒンズー教の時代に移るとヴィシュヌ・シヴァ・ブラフマーの3大神信仰に移ったためインドラはローカパーラという四天王の地位にまで格下げされています。天帝の地位を首になったと言ってよいでしょう。仏教では「帝釈天」の名前の通り天帝のままですが。

奴は四天王の中でも最弱……。

最後に念のためですがタルウィという悪魔は「渇き」を司る悪魔で本作で重要な役割を持つキャラです。ゆえに本作は『暗黒竜の渇望』というタイトルなのです。ちゃんとタイトルの名前にも意味あるんです。まあ、渇きの悪魔との戦いって意味だけの「渇望」じゃないんだけどね(読めばわかる)

『暗黒竜の渇望』
https://kakuyomu.jp/works/16817330647877241956

そんな『暗黒竜の渇望』は「次世代の聖典めざしちゃう⁉︎ 神話ファンタジーな小説の本棚⭐️」という自主企画に参加しましたことをご報告いたします。

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