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邪竜の妃の扱いについて

暗黒竜の渇望はもちろん王書をモデルとした作品ですがジャムジード王(イマ王)……こいつ仏教では閻魔ですがペルシャ神話では最初こそ聖王だったものの勘違いして自分こそ神になろうとした瞬間アフラ・マツダの恩恵を失ったあげくダエーワ(悪魔)たちを「酷使」する権限も取られ、そのままザッハークつまりアジ・ダハーカの化身に討ち取られました。この2名の娘はその後千年もの間ザッハークの肩の蛇の面倒を見ます。王書では勇者ファリドゥーンがザッハークを討ち取った時にまるで報償品のように自分の妻にしてますがそれはないだろうということでこの部分は変えました。でもおかげで子孫に世界を滅ぼす竜の血筋が残ったのは事実でそのせいで玄孫にあたる勇者ロスタムは暴走することがあるのです。

本当に暗黒竜と光の戦いですよね、ペルシャ神話って。

なので「解説16」項目として追加記述しました。

https://kakuyomu.jp/works/16817330647877241956/episodes/16817330647890359074

で、おかげで……息子は普通の息子として生まれましたが孫の娘あたりは銀の肩に黒髪の長い髪で2つの端がカールになっているなど邪竜の娘として生まれてきます(だからと言って悪い事はしてません。むしろ優しい娘として生きます)。これが勇者ロスタムの母に当たる人物ですよね。ルーターベと言います。
こんな風に物語的に矛盾する部分はやはり現代風に改変しております。だって千年もの間ザッハーク(つまり世界を滅ぼすアジ・ダハーカの化身体)の肩についている蛇の面倒を見ておきながら「虜囚の身」ってそんなわけないだろうって。そりゃ相思相愛だよって。

というか千年も生きてる時点でもうこの2名は人間じゃないだろうしね(失笑)

もちろん、そういう妃には何らかの処罰を下すよねって。でも子孫に罪は無いという形で設定はそのままにして第二勇者ロスタムの話に移るようにしたのです。この部分書くのが大変でね、ラノベ化する時にどうしようかって悩んで2010年頃だったと思うけどこういう風に改変したのよ。でも説明が抜けてたから今頃になって書き足したよ。だってペルシャ神話なんてドマイナーだしね。普通の人は知るわけないし「妃が戦利品」というのも、ね。

そしてこの選択が魔王の血筋を残す結果となってしまったのです。

なおルーターベの説話はドイツ民話「ラプンツェル」の説話に影響を与えたのでは?という学者もいます。なぜなら勇者ザール(ロスタムの父にあたる)のプロポーズの時にその長い髪を2階のテラスから降ろしたからです。勇者ザールはその髪を伝って上がってめでたく結婚となったからです。ね、似てるでしょ。インド=ヨーロッパ語族というくらいだし「インド=ヨーロッパ語族(要はアーリア語族)」という語族を発見したのはかのグリム兄弟ですから、そりゃ~ね?

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ここからは想像だけどこの母親(ザッハークから見たらひ孫)の方のルーターベも邪竜の血が目覚めた時には相当残虐な人だったんでは? 現に母側の親(ザッハークから見たら孫)は「こんな結婚に大反対だ。お前の領地カブールを火の海にしてやる」とか言ってるし。でもザールが説得して幸せになったのである。

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