『私に用がある方とは……貴方ですか?
はい?先ほどトイレで電話していた内容を聞いてた?
なるほど…それで?
貴方はいささか興味がおありと?、そうおっしゃるのですか?
まぁまぁ、そう焦らないで
おっと…
ここからお話しする内容は、くれぐれも内密にお願いしますよ
さて、日本にも2016年10月に来展し、話題をよんだ中世ヨーロッパを代表する伝説の時計師、アブラアン-ルイ・ブレゲの最高傑作として知られる複雑時計「ブレゲNo160」が、最近ドバイのオークションで落札された情報を我々は入手しました。
ええ、貴方もカナリお詳しいですね、
そうです、あのルイ16世の王妃
マリーアントワネットが愛用していた懐中時計です。
しかも、我々はその落札元のアラブ人とアポが取れまして、近々日本に来日されるところまで話を漕ぎ着けました。
つまり、我々はそのブレゲの独立交渉権を得た訳です。
えっ?
もう少し詳しく教えてほしい?
仕方ありません、貴方も相当その手の話しに興味がおありなのでしょう!
因みに、その『プレゲNO160』ですが、落札価格は30億で落としたとの事です。
我々は今回そのブレゲを、手に入れる算段を色々と模索している訳です。
あれ?どうかしましたか?
先ほどから顔色が優れない様子で?
えっ!
貴方もその交渉に立ち会いたい!
いやいや、それは無理です!
折角我々が苦労して、ここまで漕ぎ着けたのに、どうして先ほど知り合った貴方にそこまで!
な…なんなんですか!
えっ!
私はIT企業の社長で、趣味でコレクターをしている?
そ…そんなこと言われましても…
はっ!はぁ〜?
金は必ずキャッシュで用意できるからって!!
ちょっ!ちょっと!!顔近いですよ!
う〜ん…………
仕方ないですね…
分かりました
では、詳しい日程や内容はこちらの番号からお電話しますので
いえいえ…大丈夫ですよ
貴方も余程興味がおありなので仕方ありません
それでは、後日連絡を差し上げますので
では…失礼します
あぁ もしもし私だ
例の件だが、今 終わった
あぁ そうだ、 相手さんがいとも簡単に
食い付いてきた
心配ない、 それより見せ金の1億の準備を頼む
あぁ 何の問題も無い、 なんせ
近々30億はこちらに入るからな』