オリジナルキュルルは天寿を全うしたという設定の下、あの子の物語を書いてみました。ここでの彼は超人ではありませんし、立派な志を持って行動しているわけでもありません。平凡、もしくはそれよりやや下な人生を送り、今では元気のない中年の男性となっています。
あの子はずっと下を向いて歩いてきましたが、パークのみんなと出会う事で変わってゆき、最後にアムールトラ(の資料)と会う事で、それまでの自分を打ち破ります。この辺りは、本編でビーストが闇(渦セルリアン)の中から目覚める時と繋がっています。
物語の中心はあの子の歩みですが、その他にいろいろな疑問に対しての自分なりの答えを出しています。
ヒトがいなくなったのはなぜなのか、セルリアンはヒトにとってどのような存在だったのか、サンドスタータワーとはなんだったのか、などのアニメ版から感じた疑問に加え、イエイヌのご主人についてやキュルルを追いかけた訳、アムールトラが原っぱで最後に言った言葉は何だったのかなど、本編だけでは分からなかった事を書きました。
また、研究者の思いはポイポイという形であの子に受け継がれ、長い年月を経てアムールトラに渡った事も分かります。
タイトルの「傍」は、きせきが奇跡と軌跡の意味なのに合わせて、「そば」とも「かたわら」とも読めるものにしました。厳密には、「そば」という読みは常用漢字表には無いのですが。
あの子がロボット関連の仕事に就いていたのは、手動運転への切り替えとラッキービーストの修理をして欲しかったからです。
あの子に勇気をくれるサーバルキャットですが、調べてみると日本の一般的な猫よりも大きくて、抱いたまま運転席に座れるのか疑問が残りましたが、大きさは明言せず、読者のイメージに委ねる事にしました。
レポートにあった鳥の死体が消えてしまう所は、「カラスの死骸はなぜ見あたらないのか」という本を思い出しながら書きました。