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『小説編集者の仕事とはなにか?』 読了

乙一さんがXでチラっと言っていた『小説編集者の仕事とはなにか?』を読了。

著者は元講談社ノベルズ編集長の唐木さん。

うーん……。いろいろと考えさせられる内容。
出版業界に興味のある皆さんもどうぞ、ご一読を。
一言感想では「編集者も編集者でいろいろ大変だなぁ」って感じです。
全体的には、出版業界黄金期のメフィスト賞に絡んだお話が多いので、京極夏彦さんが好きな人は、面白い裏話だと思います。

誰かにとって面白い小説だけを効率よく発掘する方法があればいいんだけどねぇ。公募もWeb小説も、それが上手に出来ないんだよなぁ。自分にとって面白くない小説を読む時間は、Z世代じゃなくても嫌だわなぁ。

でも、とにかく、読者に面白いと思ってもらえる小説を用意するしかないな。
まずは腕をあげるしかない。

最後の方に、「視点」と「書き言葉」の問題について書かれてあって、まさに最近、よく考えていたことで、答えこそないけど考えるヒントになりました。

結局、小説って「面白い出来事を誰かが語っているの文字にした」形式の創作物なんだけど、面白い出来事を、誰から語るかで印象が変わるんだよねぇ。演劇や映像や漫画とは違う。それは武器でもあり、欠点でもある。

プロットまででは本当の面白さはわからないのは、そのせい。だから、全部書かないと、評価できない。

「小説は視点の芸術」って言う人がいるくらい、小説は、出来事以上に、語り手次第なんだよねぇ。

それは一人称とか三人称とか神視点とか以前に、話そのものを一番面白く伝えられる視点の人物がいるということ。それを見つけないといけない。

ホームズに対するワトソンなんてのは分かりやすいけど、事件の犯人から見た方が面白いこともある。
ヤン・ウェンリーやラインハルトでも、銀河の戦争については彼ら視点で語ることはできたけど、あえて後世の歴史家を持ってくることで、両側の事情が覗けて面白くなる。

結局、誰の視点なのかが、読後感にも、大きな影響を与えるんだよなぁ。

あと「書き言葉」の問題。
これは著者の意図とは違うかもだけど、いまのボクの悩みは、女性の台詞。「~よ」「~なの」は、現実の女性が使っていない、小説の中の言葉。これを「役割語」って言うんだけど、誰が喋っているのかが分かりやすいから使うけど、リアリティねぇなぁって思っています。

SNSでも使われていないんよ。こんな言葉……。

って思うと、そりゃ今の読者にとっては、小説って読みづらいよなぁって悩みます。使うけれども。

まあ、飛び切り面白い本が出来れば、どうってことのない話ですけどね!

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