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SS63

今回の公開内容

バシリス・クライム「いざロールプレイング」



 なんていうか、まあ番外だしというメタな理由からRPGの世界へ。
 俺――サイタ・サイガはなんと……村人Sである。
 せめてBくらいにしてほしかったが、文句を言っても仕方ない。
 
 役目はなんと酒場で働く村人。話しかければ助言を渡しちゃうぞ★な感じだ。
 泣きたい。勇者とか面倒なのは嫌だけど、もう少しこう……かっこいいのがよかった。
 
「なに落ち込んでるの?」
 
 声をかけてきたララ・タタラはなんと踊り子である。
 口に薔薇を咥えてフラメンコ的な踊りをする――男役。せめて綺麗なドレスを着せてやれよ。
 顔はイケメンだけど女子なんだからさぁ。
 
「ねー。これも慣れれば楽しいよ」
 
 そして歌姫なテオ・カガミ。配役が逆じゃないかとも思う。
 しかしその歌唱力は本物なので、文句が言いづらい。虚しい。
 
「……はぁ」
 
 そして酒場の賭け事を仕切るクルリ・クルル。負け知らずのディーラーだ。
 少なくとも最初の村にいていい役ではない気はするが、存在するのだから仕方ない。
 ほのかに漂う強キャラ感がめちゃくちゃ羨ましい。本人は「メンドー」とか思っていそうだがな。
 
「じゃあ今日のまかないっす」
 
 美味しそうな湯気を伴ってミートソーススパゲッティが出てきた。
 世界観や時代考証は横に置き、ありがたく食べる。
 なおヤマト・ダイワは酒場の従業員エース。働き者で、力仕事も任せられる俺の後輩役。
 
「店長、今月の売り上げなんですが……」
「どれどれ。うん、季節ものの仕入れが良かったみたいだな」
 
 そして酒場の会計係はヤクモ・アマトリ。
 賭け事に関しては口うるさいが、識字率が低い世界観では貴重な有識者らしい。
 普通は学問の街とかで学生してそうな雰囲気だが、まあ最初の村にいてもおかしくないのかもな。
 
 そして酒場の店長がシュウ・アオジである。甘いマスクだが常識人。
 俺達をまとめてくれる年長者で、本人は生き生きと楽しんでいた。
 もしかして前からこういう仕事やりたかったのでは……と俺は思っている。
 
 隠して酒場に集まった七人が、勇者達を横に置いて魔王討伐の旅に出るとは――この時の俺達は考えもしなかった。
 いや、まあ、最近の流行りっぽくあるが強引すぎないか?
 もう少し動機とかドラマとか、過去編とかさ……続く予定はないからいいけどよ。

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