忘却編完結です。次は北風編です。
色々とばらまいた伏線を回収し、新たな伏線をばらまく。いやぁ、悲惨ですね(遠い目)
研究の最中に現れた障害を前に、ヤーは決意する。
屈辱に膝を折るのはつらいが、背に腹は代えられなかった。
「か、カロン……おにいちゃん」
「なんだい!?なんでも言ってごらん!!」
罵倒なしのおにいちゃん呼びに気をよくしたカロンは、意気揚々と振り向く。
彼自身も報告会での発表が待っている身。普通に考えれば自分のことだけで手一杯だ。
けれど妹のためならば全てを犠牲にできる。その覚悟を部下は握り潰したい一心で見つめていた。
「お願い……聞いてくれる?」
涙目の上目遣い。
一発KO確定。
「もちろん!!」
「じゃあササメさんのところから検体一つかっぱらってきて」
「え!?」
厳しい父親の研究品を無断で持ってこい。
それは中々の難題で、カロンもさすがに戸惑った。
「期待してるわ」
そう言われて引けるはずがなかった。
こうしてカロンはヤーの発表を成功させる要因となり、父親に叱られることになったのである。
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