65000文字! 65000文字まで書き終えました!
遅い? すいません! 遅筆で申し訳ありません……!!!
……というわけで、半ば無理やりにお酒を飲むこととなって、ちょっとテンションが変なのですが、進捗報告です。
新作『世界を紐解く秘密の書』ですが、後半パートの佳境に差し掛かろうとしております。
主人公の価値観が揺らぎ、苦悩する……ちょうどそのシーンを執筆中ですね。
新作のベースとなっている『司書シェリアは世界に飛び立つ』を読んでくれた方で、覚えている方はなんとなく分かるかな?
まあ、ほとんどの人が覚えていないと思いますが(笑)
ネタバレになってしまいそうですが、前半は新規に、後半は『司書シェリア』と内容的にはほとんど同じです。
設定の変更や、前半パートの関係上の変化……もろもろの変更があるので、流れは同じでも内容としては違ったものに感じれるのではないかな? とは思ってますね。
さて、進捗報告も終わってしまいました!
というわけで、今段階(推敲前の)のプロローグでも載せるとしましょうか!
今見せたとしても、どうせ投稿する時には忘れられてるでしょうからね!(投げやり)
『司書シェリア』では知らない誰かの説明文のような感じでしたけど、今回は主人公視点でのプロローグ。
全ての物語を終えた後、その物語を語るかのように仕上げてみました。
では、どうぞ!
プロローグ『知識の集積者』
——知識……という言葉を知っているだろうか?
もちろん誰もが知っているだろう。知り、考えること……あまりにも当たり前で、逆に意味を問われて答えられない人もいたかもしれない。
「なんでそんなことを聞くんだ?」
そんな疑問がもう浮かんだかもしれないが、もう一つ質問させてほしい。
——司書……という役割を知っているだろうか?
これも言葉は当たり前に知っていても、意味を問われると答えられないかもしれない。
答えは、図書館で図書の収集や整理、閲覧等をする者を指す言葉である。つまり、本の管理をする人間の事を人は司書と呼ぶ。
知識を文字として書き記し、次代へと紡いでいく本。それを管理する司書という役割は、この世で最も知識を蓄えている人間といえるのだろう。
知識は武器だ。そして、盾にも鎧にもなる。
たった一つの知恵が軍勢を打ち破る時もあるし、ふとしたひらめきが困難から身を守る術になり得る時もある。
——さて、ここである噂話を紹介しよう。
三大大国として君臨していた——王国。他にも王国を冠する国はあれど、最大故に名前を呼ばれず、『王国』とだけ称される国にはこんな噂がある。
——小国だった王国が大国にまで成長した裏には、ある一人の人間がいる。
そんな噂だ。
過去、二大国と呼ばれていた聖国と帝国。二国の監視をすり抜け、各国を吸収し並び立つにまで成長させた立役者。
あらゆる知識を持ち、その智謀を持って他国に恩を売り、吸収していく。
それが狙いなどとは一切悟られず、相手は恩義を持って王国の傘下へと下る。
王国内部でもその存在は隠匿され、知るものは王国でも上層部のみ。そして、その者へと命令を下せるのは国王だけであるとか。
知識を武器に大国を作り上げたのが……司書と呼ばれる人間らしい。
噂は噂だ。そんなことを人間もいるだろう。
けれど、それを噂と断ずるには否定できない材料が多すぎた。
王国が他国と敵対せずに吸収していったのはまぎれもない事実であり、こうして三大国と呼ばれる王国もたしかに存在していた。また、王国が大金を使って各国から本を収集していたのは周知の事実だ。
……恐ろしい噂である。
だが、同時に興味も抱いてしまわないだろうか?
——司書という人物はどんな人なのだろう? と。
その答えは簡単だ。
知識におぼれ、知識に依存した愚か者。
すくなくとも、現代の司書という人間を称するにはそれがふさわしい。
だから——
「あなたの瞳は綺麗だけど……空っぽね」
そう言われた時に、なぜか心がざわついた。
なんてことはない、年下の少女の戯言のはずだ。
意図なんて無い。ただ思うがままに吐き出された世迷言。
自身を利用するために選ばれた人間……婚約者と言っていただろうか?
興味はない。どうせ、気が付いた時にはいなくなっているから。
だから少年は、手に持つ本へと視線を落とす。
「だからね」
少女が見つめている。
その表情はどこか決意に満ちていて、ざわつく心がさらに揺れた。
だからきっと——
「私があなたの瞳を埋め尽くすから」
——この物語は、ここから始まったのだと。
そう、今なら断言できる。