木下瞳子

飛び越えたり そっと避けたり 落ちて足を濡らしたり 泥で濁って 空を映して 乾いて消えて 前途多難 みずたまりだらけの道を行く ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 大学三年生の美澄…

同期の湊のことが気になって仕方ないあやめは、いつしか彼に恋をしていることに気づいた。 その想いを湊に告げたものの、あっさりと断られてしまう。 それでも湊を追いかけるあやめに黙って…

恋はいつも突然訪れて、歪んだり、変質したり、壊れたりしながらも、あわくかがやく。 十二ヶ月の連作短編。

春を歩く 夏を歩く 秋を歩く 冬だけは、目を閉じて走り抜ける 結婚を間近に控えた香月は、ある日テレビから漏れ聞こえた声に引き寄せられる。将棋のテレビ棋戦において対局者に残…

姉が恋愛結婚をしたために、姉の代わりに政略結婚をすることになった手鞠は、婚約者と親しくなろうと、せっせと手紙を送り続ける。 大正書簡恋愛物語。

文明の発達に伴って、舞台を照らすものもランプやガス灯から白熱灯へと変わった時代。 リリネスは舞台に立ちたいという夢のためにディム市民演芸館を訪ねる。が、そうそう簡単に役はもらえな…

幼い頃から親戚の春之が好きだったあい。しかし、その気持ちを自覚する前に、春之は結婚してしまう。 これは恋なのか、ただの執着なのか。 それは今でもわからない。

結婚目前だった彼と別れた真織は、たまたま知り合った行直と付き合うことになった。恋人なのか友人なのか、曖昧な関係の中、真織は行直に惹かれていくが、彼の職業を知ることになり……。 …

映画やドラマの中のたくさんの主人公たちに憧れたけど この世界が物語じゃなくてよかった ヒーローたちの陰に隠れて全然注目されなかったあなたを ちゃんと見つけられたから …

緋咲より五歳年下の幼なじみである貴時は、将棋と出会い、プロ棋士養成機関“奨励会”に入会した。そして高校二年生で三段に昇段。プロである四段まであとひとつに迫る。 大学進学で地元を離…

小花の住むアパートの隣には、宮前さんご夫婦とその息子さんの三人が一軒家に住んでいる。ある日台風で停電してしまい、小花はなりゆきで宮前家に居候することになった。ほんのひととき生活を…

シングルマザーだった母が亡くなり、若葉は叔母の葉子に引き取られる。葉子のアパートの隣室には恋人の高砂が住んでいて、若葉はたびたび高砂の元に預けられるのだが、ある日高砂からチーズバ…

かわりばえのしない毎日をのんびりなんとなく過ごしている美夏。そんな美夏の日常を恋は少しずつ変えていく。 ごく普通の会社員と、ごく普通の郵便配達員の、ごく普通の恋の話。

おとぎ話に似た、けれど日常の中にありふれた恋の連作短編集。 第1話　『マロウブルーの効能』 「お名前を伺ってもよろしいでしょうか？」 カフェで働く莉亜は、文通相手の有紀に励ま…

『耳なし芳一』を細かく切り刻み、分けて、曲解し、それぞれに溶かし込みました。 第壱話『返礼』 母と琵琶弾きの話。 第弐話『寿縛』 花嫁と僧の話。 第参話『報奨』 姫と護衛…

むかしむかし いつかの、どこかの国に、仲睦まじい国王夫妻がおりました。 ところが子どもができません。 子どもは恐らく、今後もできません。 一部の人間は知恵を絞り……決断しま…