毎年熾烈な戦いが展開され、そこに数多くのドラマが生まれる箱根駅伝。出場権を得るだけでも困難を極めます。
当然ながら総合優勝するのは1校のみ。憧れの大舞台を走ることができるのは、各校とも、数多の陸上部員から選りすぐられたたった十名。
そんな中、優勝校の「復路のエース区間」を区間2位で走ったという輝かしい過去を持ちながらも、ほわわんと至って地味な廣瀬さん。
なのに、極々普通の日常の中で接するうちに彼の魅力に気づいてしまった優芽ちゃんの心拍数は、全力疾走したみたいに上がっていきます。
どうにも間が悪くみえる廣瀬さんですが、そこは長距離ランナー。間が悪いのではなく、マイペースなだけなのかもしれません。絶妙なペース配分で、優芽ちゃんの乙女心を翻弄していきます。
テンポよく進む展開と軽妙な会話の中に作者様が仕掛けた策略に、1区からすっかり嵌められ、ハラハラドキドキさせられましたが、読了後はフルマラソンを走りきったような満足の中に、爽快な風を感じました。(いや、100mも走れませんが……)
ドラマチックな映画やドラマはハッピーエンドで【完】ですが、彼らはふたりで進む道のスタートに立ったばかり。
【end.】の先のふたりに幸あれ!
毎年、年明けは寝正月と決めていますが、来年の三が日はテレビの前にコタツとミカンを用意しようかな?