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「算法の村」ができるまで

今朝、新しい短編「算法の村」を投稿しました。

この小説は、複数人が集まって同じお題で小説を書く企画の中で書いたものです。
テーマは「歴史物、『おまじない』が出てくる、ハッピーエンド、5000字以内」です。

いつもは互いの小説を読みながらああだこうだと話す会までセットなのですが、今回は私の都合で参加できないので、こっちのノートに自分の小説を書いた道筋を記しておきます。


今回はジャンルが「歴史物」なのですが、これは私をナーフ(弱体化)させる目的のものです。
参加者が固定の企画なので、最近はひとりずつ順番にナーフさせていたのですが、今回はついに私の番となりました。

私は歴史に明るくないので、まず何を書けばいいのかさっぱり浮かびませんでした。
ただ、日本史や世界史は苦手ですが、数学史や科学史にはある程度明るいので、書くならそっち方面でしょう。
そして「歴史物」なので、どちらかというと日本の歴史を書くべきでしょう(別にそういう決まりはありませんでしたが)。
となれば、日本の数学史を代表する、和算を使った話にならざるを得ません。
あとはその方面で話を考えていくことになります。

和算には、算額という文化があります。
自分が解いた問題や作った問題を、絵馬に描いて神社や寺に奉納するのです。
内容に「おまじない」が必要なので、神社関係者を出せばスムーズにお題を達成できそうです。
ということで、話は和算家が神社に算額を奉納し、その際おまじないをもらう、みたいな話になりそうです。

また、和算には、道場破りのような文化もありました。
和算塾(算法塾)へ乗り込んで、そこの一番算法が強い人を倒すのです。
物語的に考えて、「やってきた道場破りをおまじないの力で追い返す」という話が一番わかりやすそうです。

と、ここまで頭の中で考えたところで、資料集めを集めを始めたのですが、これが大変でした。
何分歴史に明るくないので、調べるコツがわからないのです。理系のネタであれば、どのような本を見れば知りたいことが書いてあるか、なんとなくわかりますが、全くの門外漢だとそれがわかりません。
そもそも何から調べればいいのかもよくわかりません。

指定文字数が5000字なので、あまり細かい風景描写や人物描写は不要でしょう。となると、当時の服装などは調べなくても書けます。
しかし最低限、神社の情報は必要です。
江戸時代の神社がどのようなものだったかもさっぱり知らないので、少なくともそれは調べなくてはなりません。

ということで、図書館やAmazonで、それっぽい本を見つけてぱらぱらと読みました。

最終的に、今回の話を書く上で中心に使ったのは、以下の三冊です。

・遠藤寛子『算法少女』
小説です。和算が得意な少女が主人公の歴史小説で、「歴史小説はどういう雰囲気なのか」を掴むのに読み返しました(私は歴史小説自体、ほとんど読まないのです)。

・高埜利彦『江戸時代の神社』
こちらが江戸時代における神社の扱いを調べた本。他にも、図書館で、日本の神道の歴史だの仏教の歴史だのといった本をぱらぱらとめくりましたが、そういった本は思想の変化が主で、神社の実際の運営方法などはほとんど書かれてませんでした。今回の小説で、主人公がいくつかの神社を切り盛りしていたり、手が回らないところは百姓に任せていたりしたのは、全部この本の受け売りです。主人公の名前も、この本に名前が出てくる神主の名前をそのまま使いました(歴史に名前の残っている神主っているんですね)。

・佐藤健一『和算用語集』
Amazonであまり中身を確かめずに買った本。和算の解説本かと思ったら、古語辞典でした。辞書なので通読はしてませんが、小説に出て来た用語の大半は、この本を読んで初めて知ったものです。また今回の小説の顛末は、この本の「病題」の項目を見て思いつきました。


こんな感じでさらっと調べて書いた話なのですが、ガチで歴小説を書こうと思ったらこの何百倍も調べるわけで、「たいへんだなー」という思いでいっぱいです。

何が大変かというと、歴史に興味がないし予備知識もほとんどないので、図書館のどこに知りたい資料があるのかわからないことと、歴史の本を読んでいると眠くなるということです。図書館で寝そうになりました。
あと、本を開いた最初の感想が「うお、縦書きだ」でした。この手の硬い本、普段数学書しか読まないので……。


と、こんな感じで書きました。よかったら本編も読んでみてください。

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