詩とカレワラ韻律・1

Hei!
『魔法の詩 / Novellit 1』の作中に出てくる詩は、フィンランドの叙事詩『カレワラ』と同じ法則、カレワラ韻律に則って作詩されています。今回は詩とカレワラ韻律についてお話しようと思います。
 まず、カレワラ韻律ですが、日本における俳句や短歌と同様、作詩する上で、いくつかの規則に則り、構成されています。では、カレワラ韻律は、どのような規則を持っているのでしょうか。基本的な規則は下記の4つです。
 1. 1行が8音節で強弱格の4脚で構成されていること
 2. 1行で同じ頭韻をよく使っていること
 3. 同じこと、または似たようなことを、言葉を変えて繰り返して言うことが多い
 4. 最も長い単語が最後になることが多い
 音節やら頭韻といきなり言われても……という方もいるかもしれません。私自身、単語を音節で区切る作業が不得手だったりします。作中に登場する詩を例に挙げてみていきましょう。
 主人公のアキが第2章「アイノはどこだ? <Missa Aino on?>」の中で、次のように歌う箇所が出てきます。

 Lumen tiedan syntysanat. (私は知っている、雪の誕生の始まりを)
 Alun tunnen ukkostenkin. (私は知っている、雷が生じる始まりを)
 Lumi, taivu kaskyihini! (雪よ! 私の意に従え!)
 Lumi, taivu tahtohoni! (雪よ! 私の命じるままに!)
    
 この最初の1行を音節に従って区切ってみると次の通りになります。

 Lu-men / tie-dan / syn-ty/sa-nat. (8音節)

「-」が音節の区切りを、「/」が脚の区切りを示しています。つまり、規則1はクリアしたことになります。
 では、規則2の同じ頭韻を踏んでいるかどうかをみてみると、踏んでいません。じつは1~4行のどれも同じ頭韻を踏んではいなかったりします。「Lumen tiedan syntysanat」を同じ頭韻を使う規則で考えたとき、最初の単語が「Lumen」で始まるので、その次にくる単語は「L」で始まることが望ましいのです。
 長文になってしまったので、今回はここで終わりとし、次回の近況ノートでは、規則3と4を考えてみたいと思います。
 では、Hei Hei!

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する