畳の位置づけにも歴史的な変遷があり、部屋一面に敷き詰める、という使い方をするようになったのは室町時代のことです。
それ以前の時代はといえば、貴族や武家であっても座る所や寝る所にだけ畳を敷く、という使い方で、庶民にとってはそもそも手の届かない高嶺の花でした。もっとも、室町時代でも、部屋一面に畳を敷けたのは裕福な人や大寺院などだけです。
そして、畳は寝具の役割も果たしていました。
現代のようなふかふかした布団が使われるようになるのは江戸時代のこと。それ以前は、貴族などの裕福な人は、畳の上に上筵(うわむしろ)や褥(しとね)を敷き、体の上には昼間着ていた衣、もしくは衾(ふすま)をかけて寝ていました。庶民に至っては、板の間にごろ寝とか、藁(わら)や筵(むしろ)を敷いてとかいった、何とも簡素な寝方でした。
下記のリンク先には、当時の就寝姿の絵もあります(コトバンクの「寝具」の項目)。
https://kotobank.jp/word/%E5%AF%9D%E5%85%B7-81512