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沈没ライフ最新話更新しました。今回は美岬視点でノアズアークに魚を振る舞う話。
■沈没ライフコミカライズの件の顛末と幻の第0話ネーム■
とりあえずきちんと終わったお話なので、エピソードトークとしてお知らせしておこうと思います。
実は、沈没ライフにはコミカライズのお話が来ておりました。名前はあえて伏せますが、私の大好きな漫画も出版している業界でもそこそこ大きめの出版社です。
最初はXの方にDMが来まして、その後、小説家になろうの運営であるヒナプロジェクトを通した正式なオファーがありました。諸々の条件のすり合わせがあってお互いに合意し、編集部の企画会議でもGoサインが出て、作画を担当してくれる漫画家の先生も前向きで、担当編集さんからは「ほぼ99%これで決まりです」と言われてました。……言われてましたが、ええ、その1%が起きちゃったんですよねぇ。
作画担当予定だった漫画家の先生が別の雑誌の方で新規連載が決まってしまってそっちを優先することになり、それがかなりの人気になってしまったのでこちらのコミカライズをする余裕がなくなってしまいました。
しかも私の担当編集さんが担当している漫画家の先生方は全員現在連載を持っていてこちらのコミカライズまで出来る余裕のある方がいないということで、結局、この話は一旦棚上げとなってしまいました。
それから、担当編集さんとは定期的にやり取りはしていたものの、なかなかコミカライズを引き受けてくれる漫画家さんとは縁ができず、そうこうしているうちに去年の年末、担当編集さんが体調を壊して休職されることになり、現在担当している連載作品については他の編集さんになんとか引き継いでもらえるもののまだ企画段階のこの作品は引き継ぐことができず、申し訳ないが白紙に戻してほしい、ということになりました。
まあ、残念ではありますが、私のリアルラックの低さは普段から重々承知している次第なので、なんでだよ!? よりも、嗚呼やっぱりね。という気持ちの方が強く、あっさりと受け止めることができました。
とりあえず、中途半端にキープされるのではなく、きちんと終わったのは有難いと思っています。これでまたコンテストにも参加できますし。捨てる神あれば拾う神あるということで、心機一転してまた一から頑張るとしましょう。
個人的には、いい夢見させてもらったなーと感謝してます。
さて、そんなボツになったコミカライズ企画ですが、コミカライズに際してプロローグを変えようと考えていました。現在のプロローグはあくまで小説としてのプロローグだったのでこれをそのままコミカライズにするのは難しいと思っておりまして。それでコミカライズのプロローグはこんな風にしてほしいと担当編集さんに預けてあった幻の第0話を以下に公開します。ちなみにこれのひな型はカクヨムのメン限で以前公開しました。
■本編開始前、二人が出会う前の話。コミカライズ版プロローグのネーム■
山奥の別荘地の遠景から段々ズームインして一軒のログハウスを映し出す。看板からジビエレストランであることが分かるが、店のドアにはClosedの看板と張り紙がある。張り紙には『都合によりしばらく休業します』と書かれている。店内の固定電話が鳴り始めるが誰も取らない。誰もいない店内の各部に順次場面が変わっていき、最後に花の供えられた墓石が映し出され、固定電話のアナウンスが流れる『この電話を転送します』
舞台は変わり、道端にバイクを停めた岳人が電話している。
「……ご予約ですか。まことに申し訳ないのですが、現在は休業中でして。…………はい。今のところは再開の目処も立っていない状態なので。…………はい。そうですね。せっかくお電話いただいたのに恐縮ですが。…………はい。ありがとうございます。またお願いします」
店の固定電話からスマホに自動転送されてきた問い合わせの電話を終了し、スマホをポケットに戻そうとしてふと思い止まり、岳人は自撮り用のインカメラを起動する。
スマホの画面に大型のリュックを背負った自分、テントなどのキャンプ道具を載せた愛用のオフロードバイク──YAMAHA Serow250、背景にこれから乗り込む予定の離島行きのカーフェリーが写り込んでいることを確認してからシャッターを切る。
写真にコメントを付けてSNSに上げる。
【シェルパ谷川@サバイバルマスター】
ぶらり旅日記の取材のために1週間ぐらい離島でサバイバルキャンプの予定。もうすぐ乗船開始。本日天気晴朗なれども波高し。
#ぶらり旅日記 #バックパッカーズ
再びバイクに乗って走り始めた岳人を背景にSNSフォロワーたちのコメントが表示される。
:イキワレェ!Σ( ̄□ ̄;)
:休業のお知らせ以来、音沙汰なかったから心配してたよ
:おぉ、ぶら旅企画復活か! 何年ぶりだ? 楽しみ~!
:外洋はまだ先週の台風の影響が残ってるんかな
:お店の方はパンデミックのせいでしばらく前から休業してたね
:シェルパ、行ってら~
:新しい台風発生しそうやで。これから行く離島に影響あるか知らんけどな
:ぶらり旅日記が読めるなら久しぶりにバックパッカーズ買っちゃうか!
:…………
港に到着して乗船チケットを購入してSNSのコメントをチェックする岳人。
「……なに、台風だと」
フォロワーのコメントに気になる一文を見つけて広域天気情報をチェックした岳人はマリアナ諸島付近で熱帯低気圧が発達中だと知る。この時期の台風はどこに向かうか予想がつかないので、こっちに来るかどうかも現時点では分からないが、一応心に留めておくことにする。
乗船開始を知らせるアナウンス。岳人は愛車のエンジンを始動して跨がり、フェリーに乗船するために並んでいる車の列の最後尾に並ぶ。
ここで港の乗船ターミナルビルのラウンジにいる美岬に場面は切り替わる。
『…………○○島行きのフェリーの乗船開始時間です。乗船を希望されるお客様は乗船を開始してください』
ラウンジに乗船開始のアナウンスが流れ、美岬は食べかけの食事を急いで終わらせる。体調があまりよくない状態で無理に食べたせいで気持ち悪くなっている。
「うー、失敗したかも。食べなきゃよかった」
使い終わった食器とトレーを返却して席に戻り、出港時間まではまだしばらく時間があるのでラウンジで休んで体調回復に努めることにする。
テーブルに突っ伏したままスマホをいじる美岬。メッセージアプリを開き、サークルのグループトークにメッセージを書き込む。
【みさき】
今フェリーの乗船ターミナルのラウンジでお昼食べたところっす。うちの島は圏外の場所も多いんでこれから返信遅れがちになるかもっす。
既読3 12:20
【ミズキ@コンビニ店員】
おkおk! 美岬は今回が初めての帰省じゃんね? あたしらのことは気にせずリフレッシュしてきな~( ≧∀≦) 月末にこっちに戻ってくるんじゃんね?
12:23
【ヒヨリ@ キノコオタク】
気ぃつけてな~! 帰ってきたらまたうちのフィールドワークに付き合ってぇな?
12:23
【ナナミ@エロサイエンティスト】
てかさ、ぶっちゃけあんた今アレっしょ? 体調はどーなわけ?
12:24
【みさき】
›››【ミズキ@コンビニ店員】
あざっす。8月後半は実家の予定っす。バイトのシフトの穴埋めよろしくっす。
›››【ヒヨリ@ キノコオタク】
行ってきます。はい。また誘って欲しいっす。
›››【ナナミ@エロサイエンティスト】
そっすね、今日が2日目なんでけっこうシンドイっす。でもこれからだんだん楽にはなっていくとは思うんで。
既読3 12:28
【ミズキ@コンビニ店員】
あんたけっこう重いじゃんね( ノД`)…そんな中での長距離移動辛いな(*´・ω・)
12:29
【ヒヨリ@ キノコオタク】
女にしか分からん苦しみやね。実家に着いたらゆっくり休みや~
12:30
【ナナミ@エロサイエンティスト】
あまりに辛いんだったら低容量ピル処方してもらいな。あーしも愛用してるけどだいぶ楽になるし
12:30
【ミズキ@コンビニ店員】
›››【ナナミ@エロサイエンティスト】
あんたの場合、症状緩和関係無く常用してんじゃん
12:31
【ナナミ@エロサイエンティスト】
›››【ミズキ@コンビニ店員】
いやいやさすがに安全日は使わないし
12:31
【ヒヨリ@ キノコオタク】
また始まった。あんたらのやりとりは美岬に悪い影響及ぼすからそういうのは他所でやりや! 美岬、こいつらはほっといてええから行きな!
12:32
【みさき】
はい。行ってくるっす。また戻ったらよろしくっす。
既読3 12:33
先輩たちとのやりとりを終えて、美岬は足元に置いてあった大きめのショルダーバッグを持って立ち上がる。
ラウンジの窓から見下ろせば、車やバイクがフェリーの下層甲板に乗り込んでいく様子が見えている。岳人のバイクもちょうど乗り込んで行くところ。
徒歩の美岬はラウンジの階段を降りて、改札口で乗船チケットを係員に渡して、フェリーの上層甲板につながる舷側の階段を昇って船に乗りこんでいく。
ここでズームアウトしてタイトル。
【船が沈没して大海原に取り残されたオッサンと女子高生のサバイバル&スローライフ ─絶体絶命のピンチのはずなのに当事者たちは普通にエンジョイしてる件─】
そのまま本編第一話に繋がっていく。
……とまあ、こんな感じの文章ネームですね。本編を読んでくださった皆様ならお分かりの通り伏線満載の内容でした。供養として置いておきます。