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【惑星#00】個人的解説

解説してたりしなかったり、ぼちぼち増えていきます。
ネタバレ含みます。

『02:花と宇宙と英雄と凡人』
この世界観では、宇宙を直接見ることは出来ません。
色々理由はあるんですけど、一番は太陽までの距離に問題があるからです。
そのまま太陽使ったら、惑星のうちいくつかが砂漠になったり、極寒になってしまうから。
アウレラとザークは20代後半です。
なんか作中、色々言ってますが、アウレラはザークのことは別に嫌いじゃなくて、寧ろ彼に嫉妬してしまう自分を不快に思っています。
ザークはアウレラを純粋に「頭が良くて自分とは違う」と尊敬の念を抱いているのですが、伝わらない。
そんな感じです。
しかし、悪気はないとは言え、ザークがナチュラルに嫌な奴と化していますね。
まぁアウレラも素直に宇宙への憧れでも口にしていたなら、ザークは推薦受けなかったような気がします。
彼らは多分フェリノルダ・ラボには興味ない。
宇宙が見たいだけでゼロのことには無関心なので。

『03:宇宙恋慕』
カレンは宇宙を愛しているが故に、アキホの元にはいけませんでした。
つまり彼女は全ての答えを知っていますし、それに自信を持っています。
でも彼女は本当に宇宙を愛しているので、それ以上宇宙に踏み込めずに実家の菓子屋を継いだ。
それは逃げではなくて、彼女の一途な恋慕なのです。

『04:永遠なる愛』
クレイはアキホに近付く手段として不老不死を選択しましたが、それが悉く不成功になり
ついに自分の体を捨てて、脳も記録電子にしてしまっても、失敗し続けています。
でもアキホは生きているし、自分のクローンのストックは山ほどあります。
なのである意味不老不死になることには成功したのですが、アキホには近づけなかった。

リディーグの管理人二人については別の話で少し触れています。
クレイの歪みきった、それでいて一途な心が彼らにどう影響したのかはわかりません。

『05:旧星病』
妄想話を延々聞かせる「医師」のお話。
なんだか、未来のお話のはずなのに病院の描写がやけに現代的なのは、自分がそういうところに出入りするからです。
やっぱり経験があると、どうしても反映しちゃいますよね。
病院の地下ってそういうところが多いし。

『07:夢想家の現実』
叙述トリック目指したけど、叙述したところで対して意味はないです。
部屋に戻って給湯室に珈琲を取りに行くまでが数日前の出来事。
それ以外はその日の出来事になっています。

テッド=リングはフェリノルダゼミの出身者ですが、ちょっと変わり種。
なぜか奇跡的にゼミに滑り込んだけど、やっぱり周りが優秀すぎて落ちこぼれて、公務員になったという裏設定。
#01のバトラーや、#03のカレンよりは年下です。
特に特別な技能はないけど優秀。
つまるところ、「フェリノルダゼミの生徒なのに普通」というキャラです。
アキホは割と気に入っているようですが。

題名の夢想家とは、テッドのことではありません。

『12:戯曲「惑星の死と死」』
演劇部だったこともあるにはあるけど、特に今回の話は関係ないです。
台本とか脚本とか好きなんですよね。
趣味が読書という同胞の間でも、あまり理解はされないんですけど。
要はあれは演じるものであって、読むものではないそうです。
読むのが目的ではなくて手段になっているので、読書の一環として読む人は少ないそうです。
確か文学サークル時代の部誌に小説ではなくて戯曲を出した時にサークルの先輩が言ってたんですが、いまいちわかっておりません。

ある惑星を切り離さないと彗星が引き寄せられてコートリア惑星群が全滅するという前提の話。
住民全員が惑星の帯びる磁気に染まってしまっているために避難させることも出来ず、犠牲にするしかない女科学者の苦悩がテーマ。
何かを救うために何かを犠牲にしなければいけない状況下で、追い詰められた女科学者は自分を救うために人ひとりとハト一羽を犠牲にしました。
女科学者を助けるには一人では不十分だったというわけです。
そしてハトとカラスは女科学者が言った通り「良心」なわけですから、彼女はその半分を殺して自我を保った。
残された半分の自我は耐えきれずに自ら死んでしまいました。
カラス役が言い忘れた「何も見えない」は、結局彗星が本当に来るのかわからないという意味。
題名にある『死』は誰のことなんでしょうね。という小説構成でした。
書いていて楽しかったので、またどこかで書くかもしれませんが今回はこれで終わり。

−−追記−−
上記は12を書いた当時のものなのですが、他に比べて長いことからわかる通り、私はこの話を気に入っているのです。
インスピ元は「ガラスの動物園」と「マクベス」です。
特に、第一幕における以下の箇所

女科学者 あの音は?あの惑星の者達の抗議の声ではあるまいか?(雷の音)そうか、私を嘆くのか。愚かしい選択しか出来ぬ哀れな科学者を責めるよりも先に嘆くのだな。(雷の音)やめてくれ。私の愚かしさなど、鏡を見るまでもなくわかるのだから。(扉を叩く音)今度はなんだ?もはや私を殺そうとする、あの惑星の者の群れでも驚かないぞ。入りたまえ。

ここはマクベスの影響を思い切り受けています。
亡霊、あるいは実際にはないものに対する虚勢と恐れです。

【研究者について】
作中における「研究者」は俗物であり、女科学者の苦悩を表面的にしか理解していない存在です。

女科学者 お前が箱を動かすか
研究者  いいえ。それは私の力では動かせない。

女科学者に決断を迫りながら自分では一切の責任を負うまいとする姿勢をここで書いています。

【静寂について】
作中における「静寂」は3秒〜5秒です。それ以上短いのも長いのも想定していません。

【カラスについて】
ハトが殺された後の、女科学者の良心の象徴です。
ハトを失って半分になってしまった良心は疑心に囚われます。

カラス  随分長くかかったものだ。ところで本当に彗星は来ているのだろうか?外を確認する術も頭脳も持ち合わせていないのが恨めしい。

カラスの救いは自らが考察する程度には賢いけれども、結論を出すほどにか賢くないのを認識していることです。
また、カラスの役は08と10と13に出てくる「クルエ」が演じています。
これも作中を通して重要な役割です。

【女科学者】
ハルゼルを滅ぼすために様々なものを犠牲にします。
最後は自らも追い詰められます。

 (段々声を荒げていく女科学者。その声に伴い静かに暗転する。暗転後に女科学者の悲鳴が響き渡る)

ここのイメージは「怪奇大作戦」の某封印作品の最終シーンです。
あの悲しく歌った後に「ギャァアアアア!」と叫ぶやつです。わかる人だけわかって下さい。
色々な手段を講じて惑星を一つ滅ぼす決断をしたけど、それは一人では担い切れないものでした。
ですが研究者(世間の期待)、ハト(良心)を殺して、更にカラス(残った良心)が自滅したために、もう彼女は何処にも逃げられなくなりました。だから悲鳴を上げるのです。

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