• 異世界ファンタジー
  • 恋愛

企画「私をキュンとさせて下さい。」感想文 その2

今回は、11~20番目に参加して頂いた方の感想になります。
(作品の並び順は、参加順です。)

(11)「雨は夜更けすぎに」 前花しずく 様
    https://kakuyomu.jp/works/1177354054884529127

完結済 1話  3,563文字

くーっ、結びの雨かっ。あまり起伏なく話が進んでたから、油断してたら最後にキュンが、きたーっ♥ わーい。ありがとうございます。ふふ。こういうの大好物です(笑)

クリスマスシーズンになると、やたらと耳にする例の歌。CMの影響なのかカップルソングと思われがちだけど、実はくりぼっちの歌なんですよね――

という所からの、クリスマスに予定のない男女が、ほんの偶然からひとつの傘で帰路について、というシチュエーションに持っていく辺り。成る程、それでこのタイトルかーという気づきが読者的には楽しい訳で。個人的に、そういう仕掛け(サービス)をしてくれる作者様は大好きです。

お互い好意があるわけでもなく、特に会話が弾んだ訳でもなく。それでも、何か見えない手に押される様に、不意に運命の歯車が回り出す……みたいな、ロマンティック。うん、いいぞ(笑)

それから、お姉さんの身代わりじゃないという言葉も、キュンポイントですよねー。さりげなく、彼の誠実さが表れていてとても良かったです。

ちょっと気になったのは、歩いて帰れる距離ならば、自転車置いていこうよ、と(苦笑)あと、男女でひとつの傘に入るなら、背の高い方に(普通は男性側に)傘を持たせてあげて欲しい。そうじゃないと、歩きづらくない?彼はずっと中腰で大変だし、彼がなるべく濡れないようにって思ったら、彼女は、ずっとがんばって手を伸ばし続けていなきゃならない。ちょっと彼女が気の毒になってしまいます。演出上、彼女が持たなければいけない理由があれば別ですが、今回は特にそういう感じでもなかったので。最後の傘の受け渡しも、「これ借りてっていい?」と彼に言わせれば良いわけですし。



(12)「おしろい三姉妹」 鉄球 様
    https://kakuyomu.jp/works/1177354054882758739

完結済 46話  92,171文字 11話まで読了。

ええと……。これは、ジャンルは何になるんだろう。詩・童話に入っているから、恐らく童話?こういうの読んだことがないので、どう言えばいいのか分からなくて、気分を害されるような感想になったらごめんなさい。

まず、この作品は、小説なのか、シナリオなのかという点です。両方ミックスしたような書き方になっているので、どちらかにした方がいいと思います。
理由は読者が読みづらいから。この点に尽きます。自分で楽しむためだけに書いているなら構いませんが、少しでも誰かに読んで貰いたくて書いているのでしたら、この書き方は止めた方がいいと思います。

あと、地の文が小学生の一人称で書かれていたのも、私には読みづらく感じました。だって小学生の心の声、ひらがな多いんだもん。小学生の思考だから、ひらがな多くていいんですけど、いいんですけどー。これだと読む方はかなりしんどい……。少なくとも、私はしんどかったです(苦笑)その辺、何か工夫が欲しい所です。
同世代の子供が読む児童書なら、それもありなのかなと思いましたが、作品が「性描写あり」設定になっているので、これは大人向けの読み物という前提での意見になります。むしろこれ、三人称視点の方がスッキリするんじゃないかなと思います。

小学生の、3姉妹の日常の微笑ましい感じは伝わってくるので、もう少し読者視点を意識しながら書いたら、良い感じの童話になるような気はします。あと、3姉妹の年齢を作中のどこかに書いておいて欲しいかなと思いました。大まかには文章から読み取れますが、大まかすぎて、3姉妹のイメージがややしづらかったです。



(13)「さらさらと」 由海 様
    https://kakuyomu.jp/works/1177354054882533021

完結済 1話  513文字

無事で良かったー。
もう、その一言に尽きる(笑)

すごいな、これ。たった500文字で、思い切り極限状態に連れてかれて、心臓をぎゅっとさせられて、最後に「は~」と溜息つかされました。

なるほど、こういうのも「きゅん」ですね(苦笑)一本取られた感があります。私、今、とっても清々しい気分でいっぱいです(笑)



(14)「冷たい笑顔は芸術で」 @casablanca 様
    https://kakuyomu.jp/works/1177354054884531455

連載中 1話  4,194文字 1話まで読了。

はーそっかー。読み終わったあとで、溜息が出て色々考えちゃうお話でした。
美大志望の高校三年生男子と、自分の希望する道の少し先を歩く、人生の先輩でもある年上の美しい予備校教師の恋。

少し脱線しますが、長い黒髪と白い肌の女性というのは、思春期の男の子に特別な気持ちを抱かせる何かがあるのかなぁ……と思わずにはいられない(笑)

美大を志すぐらいだから、きっと美的センスは人一倍あるんだろう。それ故に、美しいものに敏感で、美しいものを愛でてしまうのは、芸術家のサガみたいなものなのだろうなぁと思う。主人公の僕は、先生の儚く美しい部分に惹かれ、美しい部分だけを愛し、目の前の先生が傷だらけであるのに、それには気付かない振りをして、目を瞑る。その結果、後に後悔するような過去を産み落としてしまうのだ。それはもちろん、僕の責任ではなく、運命と言ってもいいものだけど、それを僕は大人になった今も時折思い出しては、自己憐憫に浸る。

まあ、芸術家だもん、それもありかと思う。先生が残していった爪痕だって、芸術家としては勲章のようなものだろうし。それがまた、創作の糧にもなるんだろうし……と、以上が、私が色々悶々と考えたことです(笑)ゴメン、微妙に辛口なのは、作品の内容どうこうではなく、僕が私の好みの男性ではないからです(苦笑)

文章は上質のエッセイを読んでいるみたいで、心地よかったです。先生をたびたび「雪」に例えていますが、この辺もう少し芸術家ならではの例えというか、バリエーションが欲しいかなと思いました。

あと、途中、傘を差しながら、両手で相手の頬を挟むというくだりで「ん?」となったんですが、このシーン、二人がどういう体勢でいるのかが良く分かりませんでした。



(15)「人魚姫の恋」 木沢 俊二 様
    https://kakuyomu.jp/works/1177354054884530797

完結済 3話  4,080文字

ガヤガヤと賑やかな大学生たちのドライブ旅行。そんな賑やかな中で、亜弥はひとり別世界を作って感傷に浸っている。一見、ノリの悪い子の様だけど、仲間内で彼女はお姫様扱いされている様で誰にも咎められない。もう一人の女の子の心の叫びに、思わず笑ってしまいました。あなたは正しい(笑)でも、その子ですら、亜弥ちゃんを嫌だとは思っていない様子。要するに、愛されヒロインなのだ。

一話目と三話目が三人称視点で物凄く騒々しいシーン。二話目だけ、亜弥の一人称視点になって、物静かなトーンで語られる過去の話。二話目は彼女の回想シーンだし、悪くはないと思いますが、両者の空気感が違い過ぎて、少ししっくり来ないというか、上手くつながっていない様なちぐはぐな印象を受けました。
静と動、両者の落差をあえて出すためにこの構成なのであれば、まあ、ありなのかと思いますが。私個人の意見としては、二話目だけ短編として出した方が、ひとつの物語としてしっくりくるんじゃないかと思いました。

ただ、一話目の、亜弥の登場シーンは、亜弥の姫っぷりが良く分かるシーンで、なかなかインパクトがあったので、そこを失くしてしまうのは惜しいんですよね。

それから、「それは見知らぬ人たちが出会う場所。」というフレーズが度々出て来ますが、SAには立ち寄るけど、見知らぬ人とは出会ってなくない?というツッコミ入れてもいいですか?(笑)初っ端でそう言われたから、SAで見知らぬ人同士が出会って、そこからドラマが始まるみたいな話を思い切り期待したんですもの。



(16)「(短編)いちねん花」 さとうこうえつ 様
    https://kakuyomu.jp/works/1177354054884530186

完結済 1話  447文字

おおお……これも詩でした(苦笑)私、ホント詩才はないので、その点お含みおき下さい。

同じ恋をしていたハズなのに、二人の間にこんなに温度差があるなんて、何だか切ないですね。彼女は、彼に何を求めていたんだろうかと思う。ただ、目移りしただけ?彼は全てを失ったのに、彼女は自分こそが悲劇のヒロインだと主張して、無傷で時を駆け抜けていく――まあ、それが花のありようってことですかね(笑)てか、あなた、その花に手を出さなくて良かったよと思う。この先、彼に幸あれと願わずにはいられません。



(17)「その場限りの恋人」 奈月沙耶 様
    https://kakuyomu.jp/works/1177354054884330141

完結済 3話  4,105文字

中学校を卒業したての春休み、同じクラスだった内藤くんから電話があって、池田さんは誘われて彼と二人で水族館に行く。

行って、帰って来て、何事もなくさようならして……
あれ?これはデートじゃないの?と、戸惑う読者をよそに、別々の高校に進学した二人は、それきり会うこともなく、時を重ねていく――

五年後、また電話がかかってきて二人で出掛けて、やっぱりまた何事もなく帰ってきて……え?それっきりなの?え?

読者の困惑をよそに、そんな不思議な関係を続ける二人。友達というほど親しくもなく。恋人でもなく。お互い何となく憎からず思っている気配はするものの、何なんだろうこれは……って、池田さん本人も困惑してるし(笑)

果たして、三度目の正直で明かされる、その真実とは?

そっかー、皆がイケイケの恋愛をする訳じゃないよねと、改めて気づかされる。こんな不器用な恋愛もあるんだなぁ……と新鮮に感じました。むしろ、現実にはこういう方が多いのかも知れませんね。物語の恋愛は不自然に作り込みすぎなんだろうな、と自分でもちょっと反省(苦笑)

作中の、電話の取り次ぎという「儀式」が、実に懐かしかったです。最近の子は、何でわざわざ親に取り次ぎしてもらうの?って、そう思うんだろうなぁ(苦笑)

何と言うか、人の縁と言うものは、不思議ですよね。その時が来ないと繋がらなかったり、時には、自分から掴みに行かないと掴み取れなかったり。この作品は、そんなことをしみじみと感じさせられるどこか深イイお話でした。
あと、あらすじは、ちゃんと書いた方がいいと思います。



(18)「クリスマス・スプリング」 小野 大介 様
    https://kakuyomu.jp/works/1177354054884215841

完結済 4話  15,384文字

かっ、可愛いっ。いや何か……ひたすら可愛くて微笑ましくて、そこかしこにキュンが溢れてて、何かもう幸せです。ありがとうございますっ!(笑)ずっと口元緩みっぱなしで読ませて頂きました。男の子の乙女っぷりが、ホント可愛い。赤い糸とか、そんなん言われたら、ぐっと来ちゃいますよね。

弟のように思っていた幼馴染の男の子。子犬のようでかわいいなと思っていただけの男の子。それが、とある出来事をきっかけにして、鮮やかに変化を遂げる二人の様子が、コミカルに、でも素敵に描かれていて感動しました。

中学生男子と高校生女子の初々しいカップル誕生の瞬間に立ち会えて、私も公園のお母さんたちに混じって色めき立ちましたよ(笑)この作品は、読後感がとても良いですね。ほんわか幸せーな気分になりました。小道具の使い方も、色々と上手い。勉強になりました。

「クリスマスの前に春がきた」という言葉の意味が分かるラストシーンはとても秀逸です。ひとつだけ、あらすじもう少し何とかなりませんか?せっかくいい話なのに、あらすじに人を惹きつけるものがありません。勿体ないです。



(19)「砂糖はいつも奪えない?」 黄間友香 様
    https://kakuyomu.jp/works/1177354054883092925

完結済 10話  11,205文字

誰とでも気さくに話をする訳じゃないよ、それはエドだからだよ。と、ハンサムな英国青年に教えてあげたい(笑)

元担任に対する接し方や、放課後、他の実習生と交流するでもなく、ひとり喫茶店に避難してくるという辺り、気さくな人というイメージはちょっと違うよねと。恋する乙女は好きな相手だからこそ、二人の時間を濃いものにしたくて、一生懸命、会話を紡ぐのだ。

エドが絵にかいた様な王子様タイプなので、本人には申し訳ないけど、心に王子様コンプレックスを抱えている大抵の女の子は、見惚れてしまうと思う。ムツミだって、申し訳ないと思いつつ、その性格よりも何よりも先に、容姿にキュンとなった訳で。でもまあ、幸いなことに、ムツミはエドのタイプだったってことで、二人、お幸せにという感じでしょうか(笑)

彼女に構って欲しくて、気を引きたくてお砂糖チョップもするし、変な日本語も使う。実はエドはムツミより乙女かも知れませんね。あのタトゥーは、一体いつ入れたものなのか。ムツミに会う前なのか、後なのか。その辺りにもキュンの種が埋まっていそう。その辺、掘ったエピソード、ないんでしょうか?(笑)



(20)「つながっていない電話」 寝る犬 様
    https://kakuyomu.jp/works/1177354054882981078

完結済 5話  4,559文字

ああ、こういうのっ……私の好きなやつです(笑)ありがとうございます。
出会わないはずの二人の想いが、電話によって繋がるとか、滅茶苦茶ロマンチック。そういうの、好きなんです(二回目……笑)

中学生の悟がフリマで買った電話は、どこにも繋がっていない、使えないはずの電話。そのハズなのに、そこに着信があって電話に出ると、その相手は電話代滞納で止められた電話の人で――という、不思議な幕開けをする物語。ここに出て来る電話というのが、昔の黒電話という辺りが趣があっていいですね。そんな不思議なことがあっても、この黒電話ならありかと思わせてくれる。

電話相手の美羽さんは、施設育ちの悟にはこれまでに縁のない感じの、自称、永遠の二十歳の、でも間違いなく大人の女性。悟には想像もつかない銀座という華やかな街で、お店を経営している。現実離れしすぎていた相手だからこそ、かえってすんなり打ち解けられて、お互いの苦労や孤独を励まし合う関係になる。そして、時々気まぐれに繋がる電話は、お互いの心の支えにもなっていく。不思議だけれど、思いやり溢れる温かい二人の関係は見ていて和みます。

電話は繋がったり、繋がらなかったりで、どこの誰とも分からない美羽さんとの関係は不安定でいつ途絶えてしまうかも分からない。その辺りのままならない感が、読み手を非常にヤキモキさせてくれます。そして、多額の借金を抱える美羽さんを、そんなままならない電話のこちら側から、何とか救おうとする悟の起こす奇跡は、実に感動的でした。あと、美羽さんが悟の初恋って、その一文だけで、感動マシマシで(笑)でもって、最後のオチの付け方が、上手いというか素敵というか、いいんですよ、もう。これ、やっぱり私の好きなやつでした(笑)

余談ですが、SF設定の恋愛ものって、ジャンル悩みませんか?SFに入れるか、恋愛に入れるかで。私、いつも悩むんですけど。SFにすると、恋愛要素はいってるから、SFスキーさんに敬遠されがちだし、恋愛は、王道の恋愛ものからは遠いから、恋愛スキーさんにも敬遠されるし(笑)



【 事務連絡 】
このふたつ前の記事にこの感想に関するお知らせがありますので、そちらの方にも必ず目を通して下さい。(削除依頼などのお知らせになります)

感想の長短は、だいたい作品の長さに比例していると思います。短い作品であまり詳しく感想を書くと、ネタバレになってしまうので。ちなみに、この感想に対する感想や、それはそうじゃないんだ!みたいな反論(?)もお待ちしておりますので、何かありましたら、お気軽にコメント欄に書き込んで行って下さい。誤字脱字、表記ミス等も(こっそり)ご連絡頂ければありがたいです。(二回目w)

よろしくお願いします<(_ _)>

残りの方の感想は来週になりますので、もうしばらくお待ちください。

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する