今回は、21~30番目に参加して頂いた方の感想になります。
(作品の並び順は、参加順です。)
(21)「椿」 あるひ 様
https://kakuyomu.jp/works/1177354054881793102
完結済 6話 12,873文字
恋は、押して、押して、押して、押した者勝ち(笑)というお話。(ざっくり)
朔(ついたち)が一目惚れしたのは、椿という名前を持つ少女。この世界では、椿は忌み嫌われる花だ。そんな名を背負って生きてきた少女は、世間に対する申し訳なさのせいからか、ひどく内気で遠慮がち。
そんな少女に、朔は一目惚れしたその場で唐突に求婚する。椿にとっては、それは青天の霹靂でしかなく、何がなにやらな状態で戸惑いしかない。読者としても、そりゃ、いきなり過ぎだろうと、思わずツッコミを入れたくなる程だ。本気なのか冗談なのか、飄々とした朔からはうかがい知ることが出来ない。
でも、朔は本気だった――
頑なな椿の心が、朔の半ば強引とも取れる押しに、少しずつほどけていく過程が、穏やかで美しい四季の中で描かれる様は、見ていて心がほっこりします。
情景描写が非常に美しい作品でした。ただ、世界観をつくる為に、あえてなのかと思いますか、時代小説に出てくるような難しい言い回しが多用されていて、読み手に高い読書スキルを要求する作品かなと感じました。
あと、朔の掴み所のない性格と、やや常識はずれな行動には、読者としても戸惑わされることが多く、もう少し、彼の心情描写を入れてくれたら、作品に埋没できるのになぁと、その辺少し残念に思いました。二人の関係性は、ほんとキュンなんですよ。朔の椿に対する溺愛ぶりとか、ほんとに甘々で(笑)ごちそうさまでした。
(22)「俺はラブコメがしたいッ!【改】」 まるまじろ 様
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884446786
連載中 27話 90,138文字 8話まで読了。
もう、まひろでいいじゃん(笑)と思った。可愛いし性格いいし。でも、それだとBLになっちゃうのか(苦笑)なかなか楽しい日常系学園ラブコメでした。
彼女が欲しくて、ラブコメを読み込み、日夜ラブコメ研究に励んでいる主人公、龍之介。それでも、なかなか彼女が出来ない。性格に問題がある訳でもない、女の子に差し出せるハンカチを持っている(これは、高ポイントですよ)のに、なぜモテないのか?
お前、本ばかり読んでいて、交際範囲が狭すぎるんだよっ!(笑)帰宅部なんてもっての他だよ。と、色々とツッコミどころが多いのも楽しい。セリフの掛け合いの軽妙さも面白かったです。それから、主人公が気づいていないあれやこれやが、読み手にはさりげなく開示されていて、「これって、実は~なんだろうな」と予想させてくれたり、「龍之介、早く気付けよ~(苦笑)」とヤキモキしながら読ませる部分など、なかなか上手いと思いました。
気になったこととしては、日常系のお話なので、特に大きな事件が起きるでもなく、話に起伏が少ないこと。彼女が出来ない最大の理由と思われる「過去の悲惨的恋愛経験」について、序盤の段階で何も記述がないこと。ですかねー。そこ最初に教えてくれたら、もっと色々つっこめるのにという気がするんですが。(主人公の弱点的な意味で)
あと、最初にも書きましたが、出て来る子の中で、まひろが一番かわいくて、本命ヒロイン的に書かれている部分。私はBLなんかも好きなので、こういう設定は大好物なんですが(笑)男性向けラノベとしてはどうなのかなと。男子の皆さんは、かわいければ、中身男の子でも萌えるものなんですか?と、その辺、女性の私にはよく分からないので、興味本位で聞いてみたい(笑)実は男装してるけど中身は女の子とかではないんですよね?(後でそういうエピソードが出て来るんでしたら、ごめんなさい)
(23)「揺れるみつあみの彼女」 藤野 旧 様
https://kakuyomu.jp/works/1177354054883859291
完結済 2話 3,187文字
久俊と同じ陸上部の彼女、深園は女子ではただ一人の長距離選手であるがために、男子に混じって練習している。文中で描写されている感じからすると、実力もある様だ。(少なくとも、久俊よりはスタミナもあり足が速い様子)
頭ひとつ出ている存在は、とかく風当たりが強いってことなのかなぁ……同性の子とうまく付き合えないタイプである感じの深園は、女子からはよく思われていない様で、数々の嫌がらせをされている感じだ。
彼女はそんな境遇を気にしてないかのように、普段は明るく振る舞っているけれど、時どき垣間見える彼女の痛々しさに、久俊は気づいている。
うん――気づいている。
ってことはそうだよね、久俊にとって彼女は、もうすでに気になる存在なのだ。だから、無意識だけどいつも目で追ってしまう。だから、彼女がいじめられているのにも気づいた。だから、みつあみにも目を奪われる(笑)ああ、キュンがここに。
彼女も、彼が気づいてくれていることに気づいていて、自分が孤独ではないことを知っている。
――お互い、そうとは言わないけれど。
その辺りが、読んでいて救われる気がする。まだ、互いに心の内を見せあうまでの関係ではないけど、何となく繋がっている感じの気心の知れた関係性がいいなぁと思いました。そのうち付き合うんだろうなぁ……ていうか、付き合って欲しい。二人、お似合いだから。がんばれ、久俊。3文字、言うんだ。(笑)
気になったこととしては、俊久の友達の説明が欲しいかなと。読者は彼らがどういう人物か何も知らないので、簡単でいいので、背が高いとか低いとか、部内で期待されてるとか、お調子者だとか、何か特徴を書いて貰えるとキャラがイメージしやすくなります。
あと、名前にルビふって下さい。(最初だけでいいので)漢字は色々な読み方があるので。例えば、紀平なら、「きへい」って読む人もいるし、「のりへい」と読む人もいますから。
(24)「夏の雷が落ちた」 県バーン 様
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884512810
連載中 6話 6,017文字 6話まで読了。
一生懸命文字を追いかけていて、気がつくと話が終わっている。頭に浮かんだものを加工しないでそのまま見せられているような、そんな感じの作品。
上手く言えないんだけど、独特な感性で紡がれる掴み所のない作品だなと。多分、作者の人以外の人間が、この作品を説明しようとすると、その瞬間に別の作品になってしまう。そんな気がしました。
よく見たら、純文学タグ付いてるし(苦笑)私の頭では、いまいち理解出来ない領域の作品。多分、感性のチャンネルが合ってる人じゃないと、この作品の良さは分からない気がします。
ただ、何となく凄いもの読んでる感はする。中3でこんな文章書いちゃうのかと、感心しました。
ひとつだけ、最初は誤変換か?と思ったんですが、この世界観ならわざとなのかな、と思わなくもなかった、関節キス……どちらなのか、気になります(苦笑)
(25)「夜の少女がその胸に光を抱くまで」 久里 様
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884544064
連載中 2話 9,153文字 2話まで読了。
ファンタジーの設定として、夜の少女と光の少年という設定がとても上手いなと感じました。日の光に当たると死んでしまう少女と日の光の下でしか生きられない少年。出会って恋に落ちる二人の抱える境遇は、恋の困難さを予感させ、二人はこの先どうなってしまうんだろうと読み手に思わせる。実に続きが気になる設定です。
二人が逢うことが出来るのが、唯一、黄昏時だけというのも、その情景描写の美しさもあってなかなかにロマンチックでした。そうして、十年近くの逢瀬を重ねた二人ですが、ある時、少女が姿を見せなくなってしまいます。その時の少年の焦燥感が物語の緊迫感を上手く煽ります。
で、どうなっちゃうんだ、二人っ!と、思い切り煽られた所で終わっているので、続き、早めにお願いします(笑)
(26)「黄金色の欠片」 吾妻栄子 様
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884546702
完結済 1話 6,802文字
う~ん、がっつり文学寄りですよね、これ。私には難しい方面の作品……(苦笑)なので、変なこと書いてたら申し訳ないです。(思い込みと妄想で)
道で、中学時代に同級生だった子に声を掛けられて、別れ際に彼女から、別の同級生の消息を聞かされて、それを引き金にして、中学時代の記憶が呼び覚まされていくというお話ですが、特に、仲が良かった訳でもない彼女から、やっぱりさして接点の無かった別の彼女の話をされるという辺りで、まず「何で?」と思いました。
彼女たちは外国の血を引いていて、学校では良くも悪くも目立つ存在だったけれど、主人公の彼は、その他大勢のうちの一人であり、彼女たちにとって、さほど印象に残る存在ではなかった筈。彼らの間に、特に印象に残る事件もなかったようだし。悪口を言ったのを本人に訊かれたというのは、彼にとっては大事件だったかも知れないけれど、それを声を掛けた彼女が知っているという訳でもなく。(そういう記述がないのでそう解釈しました)彼女たちが学校では誰でも知ってる有名人だったから、その後の消息知りたいでしょ?興味あるでしょ?的な押し付けだったのか……
タグに初恋とあるから、地味な彼女の方に淡い恋心的なものがあったという前提で考えると、少年時代の残酷な仕打ちはまあ、よくあることだ思うけど、大人になった現在における彼女下げみたいな部分は、ちょっと嫌だなーというか……奥さんが一番って、いい旦那さんなんだけど(笑)せっかくの初恋をそこまで否定してけなさなくてもいいんじゃないのと。手に入れられなかったものを、そんなの全然欲しくなかったしーというブラフなのか。ちょっと屈折した思考の持ち主である彼の心の内は複雑すぎて、私には難解でした(苦笑)
それから、文章の書き方なんですが、癖なのかな?昔、携帯小説で流行ったような、一文ごとに改行するやり方。文章は硬質で一般文芸としても通用するような上手い文章なのに、この改行のせいで全体が読みづらくなってしまっていますので、できれば止められた方がいいかなと思います。あと、改行したら、文頭一文字下げるというのも、このレベルの文章書ける方はやったほうがいいです。
(27)「お風呂場に、同居人」 土御門響 様
https://kakuyomu.jp/works/1177354054883379400
連載中 5話 17,904文字 5話まで読了。
ふふっ。何だこれ、エロ羨ましい(笑)
触れるっていう設定が、とても良いです。風呂場、洗面所限定っていうのも、エロくなり過ぎずにいい感じです。ぜ、全裸だけどっ……うん。まあ、程よいエロさで(笑)
幼い頃に両親を亡くし、更に去年、姉を事故で亡くした高校生の夏は、アパートで一人暮らしをしている。ある日、お風呂に入っていたら、いきなりイケメンの幽霊が現れて、そのままそこに居着いてしまった。
それから数ヵ月、幽霊との同居は現在も継続中で……
寂しかった一人暮らしに、潤いを与えてくれる幽霊の存在がとってもキュート。しかも、イケメン(羨ましい!)落ち込んだ時には慰めてくれるし、愚痴も聞いてくれる。この幽霊、口は悪いけど、とにかく優しいのだ。言わなくても、色々察してくれるとか、くーって感じですよ。優良物件すぎる(笑)ボディーソープも詰め替えてくれるし(笑)
いつの間にか慣れちゃって、全裸を見られていることも忘れがちな夏だが、ふと我に返って、急に照れたりドキドキしたりという辺りが笑えるし、何とも微笑ましくて楽しかったです。
そして、最新話、うわ~この展開はもしかして、そうなのっ?というわくわくするお話で、続きが楽しみです。疲れている人にお勧めしたい、ハートウォーミングな作品でした。
(28)「清澄階物語 白水編」 南 夕星 様
https://kakuyomu.jp/works/4852201425154947393
連載中 18話 136,719文字 4話まで読了。
序盤の構成をもう少し変えた方がいいかな~というのが第一印象です。
異世界トリップものなので、読み手としては早く異世界に行って、違う世界を見せて欲しいと思いながら読む訳なんです。なのに、この作品は異世界に行くまでが長い。思い出話も長い。しかも、ヒロイン目線と主人公目線で同じ話を二回しているので、二倍長いんです。side使いって、web小説ではよく使われる手法なので、ありだと思うんですけど、これはちょっと長すぎて、読んでて途中で飽きちゃいました。
現在のキャラの紹介をきちんとした上で、読者がキャラに馴染んてからの方が、あのキャラにこんな過去があって、だから今こうなのねと思えて楽しいので、小学校の頃の思い出話は、それからでも遅くないと思います。見ず知らずの人の昔話をされても興味わかないし、「はぁ」としか思えないので……
世界観は日本神話をベースにしていて、なかなか面白そうだなと思いました。(二万字だと異世界まで辿りつけなかったので、その先少しパラパラ覗かせて頂きました)龍とか出て来るんですね~。こういうの序盤に持って来て、もっと興味を引いてくれたらいいのにな~と思うよ。勿体ない。(ごめんね、ファンタジーオタクだから、口うるさくて……苦笑)
勝気な白石と大人になってもどこかヘタレな相楽の関係が、この先どうなっていくのかな、という辺りは興味があります。長編執筆大変でしょうが、頑張って完成させて下さいね。応援しています。
(29)「雪は白く大地を染めて。」 @shigezojisan 様
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884552703
完結済 6話 26,599文字
嫌だなもー、これ、コメディじゃないですか(苦笑)
タイトル、あらすじ、キャッチコピー。どれを取っても、雪の降る季節のシリアスな純愛ものを連想させる。も~看板詐欺ですよ~これ。今回はいい意味で、ですけど。
ちょっとしたコントを見ているような、爆笑までは行かないけど、ついクスクス笑ってしまう。そんな楽しい作品でした。というか、そういうウリがあるのに、なぜそれを宣伝しないのか。勿体ないです。
二十代なのに若々しさもなく、冴えない独身男性である桜……この名前も、抜け目なくしっかりツッコミポイントですからね(笑)特に趣味もなく、会社とアパートを往復するだけの毎日で、食事と言えばコンビニ弁当ばかり。
そんな荒んだ生活を送る桜の元に、ひょんなことから、隣に住むちょっと風変わりな女性、雪絵(若くてそれなりにカワイイ)が手料理を作りに来てくれるようになる。
これだけ聞くと、なんて羨ましい話だ、と思う訳ですが、しかし、この雪絵、実は料理が絶望的に下手だったのだ。妙齢の女性が自分の部屋の台所に立って料理を作ってくれるという天国感と、その料理が激マズだという地獄感。毎回その落差に打ちのめされる桜の姿が滑稽で、笑ってしまいました。雪絵も雪絵で、ちょっと世間からずれた感覚の持ち主で、二人で会話していると、いつの間にかボケツッコミになってしまう。なかなかいいコンビです。
六話で完結ということになっていますが、話としてはまだ途中の印象を受けましたし、コンテスト応募作品でもあるようですので、ここは頑張って、ぜひ10万字、目指して欲しい所です。
(30)「99回告白したけどダメでした」 Joker 様
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884402051
連載中 31話 81,622文字 9話まで読了。
安定感のある王道ラノベでした。というかPV5ケタの人に感想いうとかおこがましい感が凄いです(苦笑)誤字脱字に関しては、自覚があるようなので、あえては言いません(笑)
99回も告白する彼や、それを99回断る彼女。普通に書くと、どっちも性格に問題があって嫌な感じのキャラになってしまいそうなんですが、それを読み手に悪感情を抱かせないキャラに仕上げているのが上手いと思いました。周辺のキャラも憎めない感じで、特に主人公の親友(悪友?)二人とのやり取りは、見ていて楽しいものがあります。
この作品の主人公は、99回も告白するような変な奴だけど、その名前の通り、誠実で陰で色々な努力が出来る人物で、なかなか好感の持てるキャラなのがいい感じです。周辺の女の子たちも、99回断った子ですら、彼の良さに気付いていて、好印象を持っている感じなので、ここからどの子と上手くいくのか(あるいはハーレムになっていくのか)――99回の子も、彼が嫌いな訳ではなく、断り続けた理由は別にあるようなので、彼女もまだまだヒロインの位置からは外れていない様ですし、この先の展開が楽しみです。
感想の長短は、だいたい作品の長さに比例していると思います。短い作品であまり詳しく感想を書くと、ネタバレになってしまうので。ちなみに、この感想に対する感想や、それはそうじゃないんだ!みたいな反論(?)もお待ちしておりますので、何かありましたら、お気軽にコメント欄に書き込んで行って下さい。誤字脱字、表記ミス等も(こっそり)ご連絡頂ければありがたいです。(3回目…w)
よろしくお願いします<(_ _)>
残りの方の感想は数日中に書きますので、もうしばらくお待ちください。