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精神科のC先生に伝えたいこと

14歳の時から精神科にかかっている。ドクターショッピングを繰りかえしていたり、通院していなかった時期もあるが、印象に残る先生が何人かいる。現主治医・C先生には3年お世話になっている。

最近感情に飲まれやすくてすぐパニックになってしまう。そうすると、冷静に考えたことなどを全部忘れてしまう。ここ最近3回目の自殺に失敗し、C先生には本当にお世話になった。でも、きっと先生に御礼をいう機会はないだろうからここに書いておこうと思う。また何かの拍子に死んでしまうとも限らないから。

●C先生・・・3年前から今の主治医。総合病院に医長として勤務中。40代くらいの男性医師。専門分野は気分性障害なんだそう。身長2メートルくらいあってでかい。

先生に伝えたいこと
①秘密を守ってくれてありがとう
2か月ほど前私は自殺に失敗し、先生がいる病院のICUに運ばれた。そこで、ODのせいか薬剤性せん妄という状態になる。意識がもうろうとする中幻覚・幻聴が聞こえる。看護師さんや家族に暴言を吐きまくり、物を壊し、点滴を引っこ抜いた。治療のため両手足ベッドに拘束され、私は何もわからない状態だった。

その時家族はC先生に、何があったのか話してほしいと詰め寄ったそうだ。しかしC先生は、「本人の口から話を聞くまでは、家族の方でも何もお話しすることはできません」といって絶対に話に応じなかったそうだ。

後から聞いたことだが、私はそれがうれしかった。詳細はかけないが、自殺を図った理由は、C先生しか知らない出来事だったからだ。もしあの時、C先生が家族に何か話していたら、その後診察をうけることはなかったと思う。たとえ意識がなくても、何もわからなくても、診察の守秘義務を守ってくれたことがうれしかった。

精神科の患者さんにとって自分の意志を表現できない状態で、医師がどれだけ自分を尊重してくれるかは大きな問題だと思う。だってわたしみたいな精神科の患者さんにとっては、今回のようにODや自殺企図で意識をなくしたり、病的体験によって自分を表現できなかったり、『自分が自分でいられる時間』があまりないと思うから。

わたしはC先生の対応で、あんな状態の自分でも一人の患者として尊重してくれるんだ、と感じることができた。あの出来事が、今でもC先生への信頼につながっているのだと思う。

いま、先生は何事もなかったようにしているがこのことだけはひそかに感謝している。


②冷静でいてくれてありがとう

つい先日の話になるが、不安に取りつかれてパニックを起こし、自宅でなきわめく事が続いていた。その時は現実的なことは考えられる状態になく、「今、すぐに抗不安薬が必要!ないと死ぬ!!」と本気で思っていた。なのでC先生のいる病院に電話した。

「今日、予約が空いてたら見てもらいたいんですけど・・・」やっぱり予約はいっぱいだった。絶望的な気分になった。受付係のTさんに「どうしても見てもらわないとだめだと思うんですけど。死んじゃうと思うんですけど!!」「いつも空いてるときあるのにどうしてだめなんですか!?」と泣いて訴えた。

「先生に聞いてみますから、待ってくださいね」といわれ(我ながら本当に最悪・・・ごめんなさい受付のTさん)最終的に母親に電話を取り上げられて切られた。折り返し電話があり、C先生の伝言「きょうはいっぱいですから明日。」が伝えられる。絶望。パニックになって母親に「今日みるっていってもらうまで電話!!先生に!かけてよ!!」といって、ビビった母親が上記のやり取りを3回ぐらい繰り返す。

何回かけても同じでC先生は断り続けた。結局その日は違う病院に救急でかかり、鎮静剤をもらった。Tさんが次の日に予約を取ってくれた。

次の日「先生は本当に冷たい!絶対にC先生に一言言ってやる」と息巻いて病院に行った。

しかしC先生「ここ基本予約で、急に来てもみれる病院じゃないから。」「救急で見れる病院に紹介状書く?」とあっけなく言われて拍子抜けした。ここまで一貫されると何も言えない。「・・・そこまで大変じゃないけど急につらくなった時に何とかしてほしいです・・・」というしかなかった。その日もいつもの調子でそっかあ~大変だったね、じゃあということで薬の調整で帰された。なぜか謝るつもりじゃなかったのに、「迷惑かけてすみませんでした」といって帰ってきた。

いまよく考えると、パニックの中では自分が!今!つらい!ということしか考えられない。しかし、当たり前のことだけど、泣きわめいてわがままをいうのは一人の大人として完全におかしい。

冷たいと思うまで一貫した対応をされたおかげで、自分の行動がおかしいと気づくことができた。これもC先生の策なんだろうか・・・キャラなんだろうか。なんにしても、(プロだから当たり前かもだけど)振り回されないでいてくれたことに今は感謝している。


③動じないでいてくれてありがとう

欝な状態ではお風呂、歯磨き、着替えが何日もできないことが普通にある。こんな状態では電車に乗ることすら、いやふとんから出るのも無理・・・。でも薬ない、どうしよ・・・。こんな状態で受診をすっぽかしてしまうことがよくあった。その結果受診できない→薬もらえない→断薬状態、が続き一時期本当に最悪となった。

そんなある日、風邪をひいてやむなく近所の内科病院へ行った。そこで、車いすの入院患者さんが隣に並んだ。高齢のおばあさんで、やせた腕に何本も点滴の針が刺さっていて痛々しい。髪と病衣は乱れまくっていて顔色も悪かった。(なんか、すごいな・・・)と一瞬思ってしまった。

だけど、よく考えたら自分の欝がひどい状況だって同じだった。お風呂も着替えもできないし、全然きれいじゃない。そんな状態でも、誰も代わりに診察を受けることはできない。診察室の椅子に座るのも、先生と話すのも、最終的には自分しかいない。この期に及んで、精神科の先生の前でも、メイクしてきれいにして笑顔で「(ちょっと今は落ち込んでるけど)元気で健康なわたし」をしていたかったことに気づいた。もうとっくにそんな状態じゃないのに。目の前にいる入院患者さんに教えてもらったような気がした。どんなに最悪な状態でも、とにかく自分が行くしかないんだと。

次の受診日も調子は最悪だった。お風呂も入ってない、ボサボサ髪スッピン寝間着に眼鏡で病院にいった。(電車の中の視線が痛いよ・・・)C先生にあってすぐ、「こんな格好ですみません。汚くてすみません」と何回も謝った。「こんな汚くて合わす顔がないと思って、迷ったけどきました」といった。

C先生の対応は普段と全く変わらなくて、そのことに驚いた。「診察にあたって僕のことは一切考えなくていいです」「来た患者さんに対してそういう風に思うと、思いますか?」「あ、日にちと時間はなるべく守ってきてください」といつもの調子で淡々といった。そしてだいぶ調子が悪そうだからといくつかの薬を調整しただけだった。

先生はもしかして汚いと思ったのかもしれないけど、態度には出さなかった。思えば、ODの時に暴れたり暴言吐いたり、もっと最悪なところはもう見られているんだった・・・。

相手が動じないでいてくれると、自分の心配が大したことなく、しかもずれていることに気付ける。たくさん患者さんがいたら、もっとすごい状態の人やいろいろな人が来るだろうが、C先生は誰に対しても同じように淡々と接するのだろう。意図的にやっているのか性格なのか知らないが、やはり感謝としか言いようがない。

まとめ

とっても長くなったけど、要するに患者から冷たいと思われても「ぶれない」ということが大事なのかなと思う。こっち(患者)は常にブレブレだからね!
あとは「一枚上手」というのもポイントかと思う。どんな状態で行っても、いつも結局C先生のペースに持っていかれ、飲まれている。しかも納得して自然な形で。なんなんだ。
ほかに精神科の先生に求めることとして、薬の処方がうまいとか、笑顔が優しいとか、患者側から並べたらきりがない。しかも人によって相性があるのは当然だと思う。

でもその上で、もし自分にとって合っていて、信じてみようかなと思える医師が見つかったら。治療がつらくても手を離さないこと、かかわり続けることが患者としては大切なのかなと思う。

処方した薬ODするし、すぐ泣くし、お風呂に入らないしこんな患者がいて先生も大変ですね。

でも見捨てないで関わり続けてくれて、ありがとうございます。




おまけ

C先生は気づいてないと思うけど、先生のインスタのアカウント、ナースみんな知ってます。看護師さんに聞きました。焼き肉の写真ばかりだそうですね。暴飲暴食せず長生きして、これからも末永く精神医療に貢献してほしいと思います。

おしまい!




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