• SF
  • 創作論・評論

「カクヨムプロットコンテスト」とアオハル小説

近況ではないのですが、思ったことなど。

スニーカー大賞のページから、こんな自主企画を見つけまして。

【スニーカー文庫編集者】カクヨムプロットコンテスト【担当なります】
https://kakuyomu.jp/user_events/16817330647869497553

「あ、面白いな」と思ったのでツイートしたのですが、削除しました。

なぜか。
このレーベルのツイアカをよく見たら、最近刊行されているの、ポルノみたいなのばっかじゃん。
これを見ちゃったら、自分はこのレーベルからデビューしたくはないと思うし、10代向けのレーベルをうたっていて、このラインナップはどうかと思うよ。

というわけで、最近読んだアオハルな小説・コミックの良作をちょっと羅列していきます。

■「N/A」年森瑛氏
 https://kakuyomu.jp/works/16816700427594649440/episodes/16816927860120737564
にも書いたんですが、第127回(2022年度) 文學界新人賞受賞作。
 主人公は、特に虐待やいじめを受けているわけでもなく、まず充実したように見える学生生活を送っている。が、友人や家族との会話、LINEでやりとりする言葉に違和感を感じている。あくまで波風を立てないようにやり過ごすコミュニケーションを通しての「他者との関係」の描き方がよかった。
(文學界 5月号掲載)

■「スタンド・アウト」冲方丁氏
 幼少期から長らく過ごしてきた海外から、日本へと帰国した青年の戸惑い、喪失感、そして友情を綴った短編小説。友人を見送った後の電車のシーンに胸が熱くなる。
 この小説のラストに出てくる「この原稿」が、第一回スニーカー大賞受賞作「黒い季節」である。
https://bookwalker.jp/de23c8cbc5-16e5-4092-9e7c-85c3bf00d24c/(試し読みあり)
(短編集「OUT OF CONTROL」収録)

■「オーグメンテッド・スカイ」藤井太洋氏
 鹿児島の寮で高校生活を送る主人公が、旧態依然とした寮の改革と、VRのコンテストに、仲間とともに挑戦する姿を描く青春小説。
 今、コンピュ-ター系のSFを書かせたら最も安心できる小説家(とどなたかが書いていたのだけど誰だったかは失念)と言われる藤井氏による、VRやコンピュータ技術関連の記述は専門性の高い内容を含んでいるが、それでも理解したいと思わせる面白さがあり、それが小説自体が持つ力だと思う。
https://bessatsu-bunshun.com/m/m6336337e9719
(Web別冊文藝春秋収録/2022年2月1日公開)

■「walk」小川哲氏
 SF小説家小川哲氏による自伝的青春小説。
 大学進学を機に地方から上京した青年の目に写る2000年代の東京の姿と、そこで知り合った学友や奇妙な友人との日々を淡々と、時にユーモラスに綴る掌編。
https://bessatsu-bunshun.com/n/n3e82c8932193
(Web別冊文藝春秋収録/2022年5月6日公開)

■「ハローニューマイライフ」村上乃司氏
 Web漫画。
 いわゆる高校デビューをした、もといじめられっ子の主人公とその友人たちの群像劇。主人公と敵対関係だったのが、共闘するような形になるヒロインとの関係や、友人たちが抱える悩みや生きづらさといったものが、わかりやすく、それでいて繊細に描かれている。
https://daysneo.com/works/328f806c54707478d8ec2d3f900b4241.html
(DAYS NEOにて無料公開中)

あとは、「君の顔では泣けない」(https://kakuyomu.jp/works/16816700427017817929)も良かったです。

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する