【新作】いつか僕の世界に夜空が落ちても
児童小説3作目、公開しました。
3作の中でいちばん、感想で反応頂けている印象。うれしい!
路上ライブをしているなぞの男の子と、生きることに疲れた女の子のボーイミーツガールでガールミーツボーイな物語。
溺愛ではあるけど、現代ドラマな要素が多めになってしまった。内容としては書きたいものはしっかり入れ込めました。
冒頭の駅は、北千住駅とか大宮駅みたいなイメージ。
そして律のモデルは、うちの父。笑
以下、あとがき。ネタバレがあるよ。
今回のテーマは、夢と、純愛と、障がい、家庭環境、生きる。
律の病気は、私の父と同じ病気。あえて病名は伏せています。
私が生まれた頃に病気が発覚して、だんだん見えなくなっていく過程を子どもながらにずっと見てきました。……が、父から悲壮感が漂ったことは一度もなかった。
障害受容の初期の段階を知らないので、そこで苦心したのかもしれないし、娘の私には敢えて見せないようにしていたのかもしれないけど。
目が見えるうちはカメラにはまり、ピアノも弾くし(上手ではない)、パソコン使いこなすし、大企業で定年まで働くし、野山を毎日2万歩あるき、ビール作りにはまり、マラソン大会で優勝し、フルマラソンにもチャレンジしている。目が見えないことで笑いをとるセンスもある。
先日は、駅のホームから転落して入院したことを、ゲラゲラ笑いながら話していた。
定食屋に行ったらタイムサービスでビール1杯100円だったので、しこたま飲んでふらついて落ちた、と。娘もドン引きである。
「視覚障がい者の〇人に1人は、ホームから落ちた経験があるらしい。俺もとうとうそれに含まれた」と笑う不謹慎さもある。(何割か忘れたけど、かなりの割合だったので驚いたのは覚えている)
私は決して父のことは好きではない。陰謀論者だし酔うとめんどくさいし。けど、そういう父の嫌なところを差し引けば、本当に明るくいきいきと生きる障がい者である。
そんな父の、良いとこだけを抜き取って若くしたのが、律。
何が言いたいかっていうと、いろんな障がい者の方がいて、いろんな生き方があるなかのひとつを描きました、ということです。
そして私自身の、視覚障がい者の家族としての想いも含まれた作品となっています。
思春期を、父の病気と向き合いながら過ごすのはしんどさもありました。後悔のほうが多い。もっと支えてあげればよかった、と。もしも父が死んだら、私は棺桶にしっかり頭を下げると思う。
そんな父への懺悔の気持ちも込めて笑、書きました。
萌は、やや毒気のあるお母さんとの関係に悩むごく普通の女の子。
毒親の線引きって難しいけど、お金や生活に不自由せず暮らしていても、毒気のある親はたくさんいて。逆に恨み切れないという怖さ、「自分が悪いのかも」と思いながら生きていく怖さがあるなと感じています。
だから萌も、お母さんに対して不満はありますが、結局音楽を捨てることになったのは「成績が下がった自分が悪い」と思っています。「やめさせられた」とは思ってない。そんな怖さを、続編では描けたらと思っています。
しかし12000字、きつかった。おさまらない。最後かけあしになっちゃったのがほんと心残り。
中学生向けに書いたつもりだけど、続編はさらに重くなりそう。