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感情という不可解極まりない信仰対象

タイトルは21話「杏と嘯く」より

誰でも心や体が傷付いたら悲しいものだと思う。
優しい世界になればいいのに、というのは世界共通の願いだろう。
戦争は一部が儲かるのと、一部の思想の暴走だから未来永劫無くならないんだろうけど。

そんな小難しい話をするつもりはなく、ただの感情についてのお話です。

私は昔から自分の意見や感情を表すのが苦手で、読書感想文はただの地獄。あらすじを書いて提出する始末だった。
道徳の授業も模範解答を書いて終わらせる。

自分の感情を人にぶつけて、何かいいこと、あるんだろうか。
自分や相手が泣いたり怒ったりするのも面倒だから、ケンカとか対立とかはしないように迎合する。それで波風が立たないならそれでいいと思っている。
人に気に入られたいわけじゃなく、徹底した事なかれ主義を貫きたい。

そんな私がどうして小説とかいう自分の感情垂れ流し妄想を書いているかというと、ただの反動。
登場人物に喜怒哀楽を与えることで、ああ、自分はこんな時はこんな感情になるんだな、って再認識。

感情は出さないけど無いわけではない。
順番抜かされたら腹も立つし、何かに失敗したら悲しくもなる。
でもそれを出したところで状況が変わるわけではないから、そんなくだらないことに時間を使うぐらいならさっさと昇華したほうが幾分か人生はマシになる。

そんな人間が書いている小説に誰かが心動かされるのだろうか。

有難いことに文字で感想を伝えてくださる方がいます。
ボタン一つで好感を伝えられるのに、わざわざキーボードを叩いて文字にしてくださるというのは何よりも有難く嬉しい。
読んでくださるのも、感想を文字やボタンで伝えてくださるのも、イラストを描いてくださるのも、全部嬉しい。
あなたの貴重な人生の時間を使ってくださっているという事実が何よりも嬉しい。

心を動かすとは一体何だろうか。

私が目指しているのは消えない傷です。
みんなにも傷跡の一つぐらい肌に残っていると思う。
ケガのあとだの、肌荒れのあとだの、人によってさまざまだろうけど、傷って消えないんですよ。
それと一緒で、心の傷だって消えないものだと思う。

誰かを温めてあげることも、包んであげることも、しようと思えば私にもできると思う。したことないけど。
でも、目指すのは、一生消えない傷です。

傷は悲しみとともにしか生まれない。
だから、私の世界は悲しみであふれている。
なぜなら、それを私が望んでいるからです。

今、私の小説を読んでくださっている方もいつかはこんな小説のことなど忘れてしまうだろう。
内容も、登場人物も、あなたがすべてを忘れても、
私が抉った傷跡だけは消えないでほしいと願う。

以上です。

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