いや、今日はマジでもう寝ます。
ヤバい。会社で仕事に打ち込んでる時はいいんだけど、フト落ち着いた瞬間、ストンと落ちそうになっちゃう。
なので今日は、
『今”終末”は滅亡デートだってばよ!』
の、続きを先行公開して寝ます。
まだ、全然途中までなんだけど、明日中には必ずラストまで書き切ります!
ここから続きをご覧になってみて下さい^^
「てか、今こんな状態なのにどっから持ってきたんだ?!」
世界は今、滅亡寸前。
食料品なんざ流通も止まってるし、どの店もとっくに空っぽなハズだ。
俺が飲んでる安ワインも、たまたま転がってたのを拾っただけだしよ。
そういった意味でも、この女はわけが分からん。
───なにもんなんだ、コイツは?
つい怪しい目で見ちまうが、彼女はそんな俺などまるで気にしない素振りでニコニコしてやがる。
「一瞬に飲んで食べよー♪ あ、そうだ。名前教えて」
「へっ? 誰の?」
思わず素っ頓狂な顔をすると、彼女はプッと吹いた。
「もうなに言ってるのーw おにいさんに決まってるじゃん♪ それとも、あそこの猫ちゃんの名前かと思った?」
ニャー♪
終末の荒廃した世界で、可愛く鳴く猫ちゃん。
それを見ながら、彼女はケタケタ笑ってる。
シュールというか何というか、不思議な感じだ。
力が一気にフッと抜けた気がするけど、悪かない。
「あー、俺は貫太。貫くに太いって貫太だよ」
「へー、なんかどっしりとした名前だね」
「まーな。ぶっとく意志を貫けって願いを込めてくれたらしいんだけど、まあ、全然だ」
そう零しながら、今までの情けねぇ人生が脳裏を巡る。
俺はいっつも、ここぞという時にダメだった。
日々の生活はもちろん、進学だって就職だって、んで、恋愛だってそう。
肝心なとこで意志を貫かず、ほっそい人生を生きてきた。
名前とは真逆だが、誰かのせいじゃねぇ。
貫かなった俺がクソったれのせいだ。
軽く思い返すだけでもイヤになるが、やっぱこの隣の女は気にしないらしい。
「わたしはアカリだよー♪ 灯火の左のヤツー」
「左のヤツって、どーゆー伝え方…」
俺が微苦笑を浮かべた瞬間、アカリは
「よろしくねっ! 終末彼氏♪」
「は、はあっ?! か、彼氏って、いきなりなに言ってんだよ」
そうはいっても、もちろん嬉しいに決まってる。
メチャメチャさ。
本当はひゃっほー! って両手を上げて小躍りしたい気分だ。
けど、わけ分かんねーじゃん。
いやその、このタイミングで付き合うとかさ。
しかも、なんでいきなり彼氏になったのかも全然分からねぇ。
───まさか、終末でイカれちまったのか。いや、俺だってそもそも終末彼女探してたし同じか。でもイザ出来ると、どーしていいわっっっかんねーー!
こんなことを高速で考えてると、ただでさえオンボロの脳みそが焼き切れそうだ。
そんな俺に、アカリはちょっとだけ困った顔をして横から見つめてきた。
「え〜、ダメなの? 貫太」
もういい。もういいよ。俺はもう抵抗しない。
ゆでダコになったような顔で、プシューっとなっちまったから。
K.O! you lose.
「……好きにしてくれ。どーせ、後2日だし」
「やったあ♪」
文字通り後2日で世界は終わるし、世界はヤバいぐらい荒れまくってる。
だからかな。俺にはより一層、アカリの笑顔がこの世界で唯一鮮やかに見えたんだ。
◆◆◆
ボロくなってるベンチ。
そこに並んで腰掛けたまま、アカリがチョコ菓子をつまんで俺の口に近づけてきた。
「ん、あーん♪」
「ちょ、やめろよ。子どもじゃねーんだし……」
とは言いながらも、俺はパクっとしてモグモグしてる。
「うん、普通にうまい!」
なにがうまいだ、ばかやろう。
アホか俺は。
爽やかなフリしやがって。
けど、しゃーないだろ。
デレデレした顔になるのが嫌だから、ふてったふり、落ち着いてるふりをしねぇとヤベェのさ。
───あー、でも本当はデレデレしてーよ〜! こんな時間をどれだけ夢見てきたことか! いやいや、いかんいかん。耐えろーーーー! ああっ、でもな〜
そんなギリッギリな俺の隣で、アカリは元気に笑った。
「でしょ♪ やっぱ終末でも、甘いものは正義なんだよっ! ヘヘッ♪」
ヘヘッじゃないよ、もう。
完全にオーバーキルだっての。
けど確かにアカリの言う通り、終末でも甘いもんは美味い。
てか、正直アカリに夢中で、味よくわかんねーけどなっ!
そんなおバカな俺の目の前には、色褪せた遊具と、誰もいないブランコがある。
空にはまだ陽が残っていて、終末ってよりは、どこか懐かしい放課後のような雰囲気だ。
心がそう感じさせてるのかもしれない。
「はあ、あっ……。なんかさ、こんな状況でも、笑えるもんなんだな」
そう零した俺の側で、アカリは胸を張った。
「あったりまえじゃん♪ 笑おうと思えばいつでも笑えるよ。二ヒヒッ♪ 貫太面白いし」