おかげさまで『舞台袖は、露に濡れつつ』が完結しました。させました。
 前半はペースよく更新できていたのですが、5月の後半あたりから家庭の事情などが重なって更新が遅くなってしまいました。そしてなんだかんだでカレンダーを見ると7月になっている…。時間が経つのは早いですね。
 そうは言っても、3ヶ月で12万字のお話を書くというのは遅筆な私にとっては異常なハイペースであり、なんだか自信がつきました。
 
 お話としては、「自分が好きな話を好きなように書いた」ということに尽きます。
 あんまり読む人のことは考えませんでした。自分が好きな曲を自分が聴いたように書くということに終始して、とことん楽しみながら書こうと心に誓って書いていました。
 もともと、自分が書いたお話を他の人が読んで「おもしろい!」と言ってくれるというのはあくまで「事故」みたいなもんだと思っている節があります。
 もちろん、構成や描写の技術によって読者の好みに寄せることはできますが、やっぱり他者は他者なのであって、完全に他者の好みでお話を書くことはできません。だからこそ、「おもしろい」と思ってくれるのは本当に「たまたま」なんじゃないかな、と思っています。まぁ都合のいい言い訳なのですが。
 
 中学1年生で吹奏楽部に入り、中2のときにチャイコフスキーの「1812年」を聴いてからオーケストラの虜になり、ひたすらに演奏して、コンサートに赴いて、そして楽しむということを繰り返してきました。そんな自分の半生が色濃く出ているのかな、と思うとちょっとしみじみとします。
 でも、実際言葉にしてみると「あぁ、自分はこの曲をこういう風に聴いているんだ」という新たな発見もありました。この曲にはこういう語彙で挑むんだ、とか、この場面を強調したがるんだ、と、自分の音楽観というか価値観を確認する作業にも繋がりました。やっぱり言葉にしないと気がつかないことってのはありますね。
 
 このお話を書くにあたって、リヒテスホールのモデルになりましたサントリーホール前ステージマネージャー、宮崎隆男さんの『マエストロ、時間です』という著書を大いに参考にさせていただきました。その内容は驚きの連続で、信じられないようなことも書いてあり、「これなら多少想像で書いても平気だろう」という無駄な自信を得ることができました。宮崎さんに届くことはありませんが、ここで改めて感謝を申し上げたいと思います。

 今回は朗らかで煌びやかなお話を書いたので、サイクルとしては次はどろどろしていて絶望に満ちていて、それでいて甘美なお話を書くと思います。是非お時間あればまた読んであげてくださいませ。

 それでは、また逢う日まで…。

 2017.7.4 神楽坂いずみ