神去り国秘抄(白兎と金烏)が2/15に発売になります。
刊行に先立ち、おはなしや改稿箇所についてご案内します!
詳細:
https://lbunko.kadokawa.co.jp/product/322110000737.html【あらすじ】
十年前に日輪が消えた国、照日原。その辺境の郷の姫・かさねは狐神の花嫁に選ばれる。だが花嫁とは、日照不足で不作続きの郷を救うための贄を意味していた。知らずに狐に喰われかけたかさねは、金目の青年・イチに助けられる。見返りとして彼が要求してきたのは、日輪を司る日神に会うためにかさねの「力」を貸すことだった。
戻る場所のないかさねはしぶしぶ同行を決める。しかしイチこそが日輪が消える原因を作り、都から追放された皇子だと気づき――。
運命に抗うための旅が、今始まる。心揺さぶるファンタジー開幕。
まずweb版未読の方向けに説明しますと、こちらはわたしが投稿サイトで2016年から5年ほど連載していた長編シリーズ「白兎と金烏」のエピソードゼロ、主人公たちの出会いから始まる最初の旅を描いた物語部分の書籍化になります。
このシリーズ自体も去年完結していて、全体の分量としてはだいたい文庫本5冊くらいでしょうか。今回書籍化する「天都探索編」単体でも読めるつくりではあったんですが、神去り~に関してはweb版と比べても、この1冊でより物語として盛り上がって終わるつくりにしています。
ベースとしてはシリアスですが、かさねが性格的にあかるく、ひどい目にあっても癇癪を起こしたり鼻水ずびずびしたりしつつ最後は自力で立ち上がる根性の持ち主なので、雰囲気は明るいです。イチはわたしのはなしに非常によく出てくる謎を抱えてヒロインのまえに現れる系の男です(とりあえずこのはなしでは)
自分がすごく好きな御伽噺/神話的モチーフ、贄、神嫁、祭祀といった要素と、少女の成長譚、正反対の青年少女コンビ……などに、エンタメや少女小説テイストをかけあわせながら書きました。
お好きな方に届くといいなあ。
神去り国秘抄のはなしに戻ります。ここからは既読の方向けです。
内容的には、お伝えしました天都探索編をベースにした物語になります。
辺境の郷に生まれた末姫・かさねが狐神の贄に選ばれ、その窮地をイチという謎の男が助けたことから物語が始まるのは変わっていないのですが、「日輪を司る日神が消え、十年間日が隠れている国」「その原因となった大罪を犯した皇子」などが再構築している部分です。
あわせて、ひとと神の関わり方や天の一族の位置づけをはじめとした国の仕組み、設定部分の整理を行っています。またお馴染みのかさねの「力」や道の設定も練り直して、どちらかというと一幕の終盤以降明らかになるかさねの運命に準拠して修正を加えています。(これは連載時からそうだったんですが、序幕と一幕以降の本編で執筆期間にズレがあり、いくつか自分のなかでつじつまがあってなかった設定や、練りきれていない箇所が残っていたので、いろいろ修正しました)
全体としては、かさねとイチの関係性の変化/かさねの心情面を軸にしつつ、エピソードを再構築していったかんじです。あれこれ書きましたが、主要人物から脇役を含め、ほぼ性格も関係性も変わっていないので、そのあたりはご安心いただけたら。(孔雀姫だけがわけあって名前を変更しました、ごめんなさい!)
書籍化にあたって、天都探索編をブラッシュアップさせただけなら、同人誌で一度やっているし、あらためて商業でおなじことをやる必要はないのかな…と思ったりしました。また、天都~を書いた頃からおよそ7年ほど(連載的にも5年ほど)経っていたというのもあり、それなら当時の自分がやりたいと思っていてでもうまくできなかったことを、いまの自分でできる限り再構築できないかなと…。
ただ、web版のよさみたいなものも残したかったので、担当編集さまに読み比べてもらったり、ご意見うかがったりしつつ改稿を重ねていきました。おなじみの登場人物たちによる新たな物語として楽しんでいただけましたら幸いです。
すこしまえから、web版の「白兎と金烏」では後日譚の連載をはじめました。こちらは全5話予定で、本編終了後のかさねとイチの騒動と旅を描いたものになります。紗弓や漂流旅神をはじめとした、海にまつわるひとびとが結構出てきます。肩に力抜いて読めるゆるっとしたやつです。
じつは後日譚で、燐圭とさゆこのことに触れようと思っていたんですが、ちょっと話が重くなりそうだったのと、かさねも新婚らぶらぶ絶頂の時期に燐圭と顔合わせたくないだろうな…と思ってやめました。やめたので、燐圭たちとかさねたちのはなしはまたどこかで書けたらいいなっておもいます…笑
発売まであとすこしですが、楽しんでいただけたらうれしいです!