ここでは、匿名短編コンテストシリーズにおける「参考スコア」の意義と算出方法について説明します。
匿名コンのような形式では、序盤に掲載された作品にPVが集中し、掲載順が後方になるにつれてPVが漸減する傾向があります(画像上段)。このため、前半の作品と後半の作品とでは、得点機会に著しい差が生じます。
もとより、行動・執筆の早い方が多少の有利を得るのは妥当なことですが、より多くの方に企画を楽しんで頂くため、匿名コンにおいては、実得点とは別に、得点機会の不均衡を数学的処理で均した「参考スコア」を算出し、公開することとしています。
参考スコアの算出にあたっては、まず、作品の掲載順をx軸、実得点をy軸とするグラフを考え(画像中段)、Excelのslope関数及びintercept関数を用いて、このグラフの線形回帰直線の傾きと切片を算出します。
例えば以下のようなデータがあった場合、
【作品A(掲載順1)】10点
【作品B(掲載順2)】7点
【作品C(掲載順3)】4点
【作品D(掲載順4)】8点
【作品E(掲載順5)】4点
線形回帰直線の傾きは「-0.4044」、切片は「5.6691」となります。
この線形回帰直線の方程式「y=-0.4044x+5.6691」を用いて、任意の作品の掲載順xから、その作品の期待得点yを求めることができます。
上記の例では、各作品の期待得点は以下のようになります。
【作品A】5.2647
【作品B】4.8603
【作品C】4.4559
【作品D】4.0515
【作品E】3.6471
そして、任意の作品の実得点を、この期待得点で割った数値を、当該作品の「参考スコア」としています。
上記の例では、各作品の参考スコアは以下のようになります。
【作品A】1.8994
【作品B】1.4402
【作品C】0.8977
【作品D】1.9746
【作品E】1.0968
掲載順1位で実得点10点の作品Aよりも、掲載順4位で実得点8点の作品Dの方が、より得点機会に対して高い評価を得ていることがわかります。
また、作品Bも評価は高いがAやDには及ばないことや、同じ実得点4点でもCよりEの方が健闘していることなども、この数値から判断できます。
なお、この参考スコアの線形回帰直線は、「y=1」の直線と一致します(画像下段)。
この参考スコアの順位を参照することで、不利な掲載順でも健闘している作品や、掲載順にかかわらず抜群の評価を得ている作品などを見つけることができます。
実得点の順位と併せて、匿名コンを楽しむための一助として頂ければ幸いです。
※画像のグラフはいずれも「新匿名短編コンテスト・再会編」第1回中間発表時点のデータです。