相変わらず「劣化なろう」へのオンリーロードをばく進中のカクヨムだけど、不幸なことに、「これは!」という良作品も数多く埋まっている。それがわかったというのが収穫と言えば収穫だ。
ただ、やはり星の少ない作品は大半の読者からは見向きもされず、だからといって運営や各紙の編集がそういう良作を掘り出す努力をするわけでもなし。磨けば光る作品を、伸ばせば伸びる物書きを、あたら潰してまわっているのが現状であろう。
もったいないと本気で思う。
カクヨムは、誕生した時点から「なろう」を強く意識して作られたサイトだ。だから、強い作家は作風において「なろう」と被るし、そうした作家を求めて訪れる読者のかなりも、いわゆる「なろう作品」を求めてくる。ランキング上位作品が「横浜駅SF」を除けばすべて「異世界モノ」だという現実が、それを如実に物語ってる。
カクヨムは、いったいどこを目指しているんだろう?
「なろう」に取って代わるのが目標なのか?
だとしたら、いまの路線で問題ない。勝てるかどうかは別として、だが、やってることに誤りはない。
だがそれでいいんだろうか?
今日だけで二件のレビューを書いたけど、そのどちらもが極めて良質な作品だった。一方の長編に関して言えば、映像化作品となっても差し支えのない、そんな小説だったと思ってる。
実にもったいない。
そういう作品をカクヨムが大事にしない(そして、実際に大事にされてない)というのは、ある意味で出版業界自体の宿痾を明確に表しているような気がしてならない。