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稲穂垂る

 最近ちょっとばかり鬱入っておりました。

 何分、書く事が有り過ぎて、書いても書いても一向に追い付ける気がしない。

 だと云うのに、自分の中の何かが頻りに「書け書け」と引っ切り無しにせっついて来る。

 パトラッシュ、僕もう疲れたよ。

 もういっその事、何もかも放り出して逃げたろか、そんな風に思ってしまう程には気分が落ち込んでいたのですが。

 そんな折、いとうみこと様主催の自主企画、「俳句でお題に挑戦」に目が留まり、「今回のお題は″新米″かぁ、うん、駄目だ、何も思い付かん。」と、ここ最近幾度か参加させて頂いたのを、今回は見合わせようかと思っていた所に、フッと浮かんだ″稲穂垂る″と云う言葉。

 そこから流れる様にスラスラと“実りの重み 明日の空”と、考えるより先に句が出て来て、実りの重み、はまあ、良いとして、明日の空って何だろう? と、自分で自分の作った句の意味を考えるなどと珍妙な事態に。

 暫く考えた末に、漸く、稲穂が垂れる程の重みを持ったこの実りが、明日の命を紡いで行く、と云う意味での”明日の空”なんだと云う事に思い当たり(多分この意味であっている筈、うん、きっと、メイビー)、そんな事を思いながら、明けて行く空を眺めている内に、妙に晴れ晴れとした気分と共に、それまで重く圧し掛かっていた鬱々とした気分が、何処か遠くに消えていた事に気付くのでした。

 昔からそうでしたが、こんな風に何か追い詰められていたり、落ち込んでいたりした時に、フッと何かしらの考えやら言葉やらが浮かんで来て、その都度自分を救い上げると云う謎現象に見舞われる事が多く。

 まあ、身も蓋も無い言い方をすれば、移り気、と云う事なんでしょうが。

「女心と秋の空」と云う言葉がありますね。まあ、ワシは男なんじゃが、こうして辺に引き摺る事無くやっていけるなら、この移り気もそう捨てたものではないか、と。

 そんな訳で、引き続き、今後とも宜しくお願い致します。

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