まだ日中は暑いですが、徐々に夜風が涼しくなり、日が暮れると珉珉ゼミの代わりに凛凛スズムシの声が聞こえ始めた今日この頃、皆さまいかがお過ごしでしょうか。秋の吟遊詩人、煎田です。
今宵もセンティメンタル乙女な煎田は、清涼たる夜風に身を任せながら、詩情に溢れたロマンティックなポエムを書き綴りつつ、哲学的なライプニッツに思いを馳せておりました。
すると不意に、どこからか「アンアン」という、か細いながらも扇情的な高音声が、煎田の耳に聴こえてくるではありませんか。
この声は、まさか……秋の旅情にほだされて、どこぞの男女がライプなニップルを乳繰り合って、熱烈に絡み合っておる⁉
驚愕した煎田は、全身を震わせました。すると、アンアンに続いて、ギシギシという軋み音までも、何処からか鳴り響いてくるではありませんか。
これは……確定演出か。
リールの全回転を予期した煎田は、パチンコチンな交接の気配に打ち震えました。
そして、声の震源地を探らねばという使命感に駆られ、座っていた椅子から勢いよく立ち上がりました。
……ギシリ。
おや? 椅子から立ち上がった途端、先ほど耳にしたのと同じ軋み音が。
と同時に、アンアンギシギシのお愉しみ音は、ピタリと全停止。
これは、もしや……。
試しに再び椅子に座り、そのまま軽く身をよじってみると、再び聞こえるギシギシ音と、アンアン響く摩擦音。
……うぉい、なんじゃ。古くなった椅子が、座ってる煎田の動きに合わせてそれっぽい音を立てていただけかい!
ギシアンの、正体見たり枯れ尾花。
なんとも切ない、秋の夜の悲しい事件でありました。
てやんでぃ、期待させんじゃねえやい、こうびのバカヤロー!(不完全燃焼な、め組の江戸っ子)
(関羽、カンカンウンウン休題)
はー、やっぱり尼存のセールで買った安物の椅子はいけませんね。
もう少しお金を稼げたら、ウン十万のエグゼクティブ仕様の人間工学に基づいた超高級ワニ革張りデスクチェアを購入したいものです。それで思う存分ギシアンしたい。
でも、待てよ。煎田が身を揺らすたびに椅子がギシアンと淫奔な嬌声を上げてるってことは、つまり……これって煎田と椅子が、仲睦まじく化学結合してるに等しいのでは⁉
なんてこった。ごん、お前だったのか。
拙の身じろぎに快感を覚え、興奮の喘ぎを天に発していたのは。
真実に気付いた煎田はここに、「椅子萌え」という新たな性癖を開眼させたのであった……。
(関羽、乗馬マシーンにそこはかとない劣情を催す休題)
というわけで、秋の夜長は新たな性癖を発見できる、素敵にサイバネティックな季節。
皆さまも、無情にも過ぎゆく夏の後悔に打ちひしがれている暇があったら、さっさと椅子を揺らして、己が身体を支える知己と存分にくんずほぐれつを演じるがよいと思います。
では、お腹も空いたので、今日はそろそろこの辺で。
最近はエリッククラプトンのエロティックなギターに酔いしれて、車の座席でGot me on my kneesしてる煎田でございましたー。かしこしこー(摩擦音)