ひゃああ、気づけば八月も終わりを迎え、ひたひたと九月の足音がだるまさんを転がしておるうう。
どうも、夏の終わりに怯える森山煎田朗です。忍び寄る秋の気配。ぼくがあなたから離れてゆく。
とは言っても、まだまだ気温が高い日は続きそうですけどね。
近年は秋らしい日が激減している気がして、全然メランコリックできません。ぼくの精一杯の優しさを、あなたに受け止めてほしいものです。あ、受け止めるはずもないの? ショック。
高校球児たちも、無事灼熱の甲子園大会を終えて、今頃は女マネやチアリーディング部との逢瀬を楽しんでいるのでしょうか。おのれ、憎らしや……(憎悪の炎)
女子といちゃつくよりも先に、君たちはもっと、これまで応援してくれた父母とか、真夏の水分補給を手助けしてくれたウォータージャグやヤカンなんかに、心からの感謝を伝えなければなりませんよ。
八百万の備品には、しっかり魂が宿っているんですからね!
ウォータージャグ(以下、ウ)「はぁ、今年も終わっちゃったわね、夏の高校野球」
ヤカン(以下、ヤ)「そうだな。今年も球児たちは、皆頑張っていた」
ウ「ってかここ数年、夏が暑すぎなのよ! あたしなんてもう、一日に何度もスポドリ注ぎ足されて、そのたびに喉乾かした球児たちが猿みたいに群がって来て……重労働にもほどがあるわよ!」
ヤ「確かにな。俺も去年までは部室の奥で埃を被っていたが、今年はお前だけでは水分補給が間に合わないからと、久しぶりに麦茶を補給させられたからな」
ウ「はーあ、あんたみたいに保冷機能もついてないロートルの手を借りなきゃなんないなんて、あたしの面目丸つぶれよ。あんた、いくら氷足してキンキンにしても、すぐぬるくなっちゃうじゃない」
ヤ「そうかもしれんが、俺にだってまだまだ、有効な使い道はあるものだぞ?」
ウ「はあ? 容量もあたしの方がずっと上だし、ちょっと手を滑らせたりしたら、あんたすぐ中身がこぼれちゃうじゃない。今年の夏だって、慌ててドリンク作ってた女マネがあんたのこと派手にひっくり返して、何度かビショビショになってたし」
ヤ「ふっ。確かにお前は俺より遥かに優れた機能性を有しているが、何も分かっていないな」
ウ「(カチンッ)……何それ、喧嘩売ってんの?」
ヤ「俺が女マネの手からひっくり返された時……俺の体内の麦茶は、女マネの身体に降り注ぎ、その半袖ジャージをしとどに濡らした。すると、どうなる?」
ウ「(ハッ!)あ、あんたまさか……」
ヤ「そう。ジャージが透けて、その下に付けていた下着がうっすら浮かんで見えるのだ。これを目撃した高校球児たちは、もう夏バテなどなんのその。目の色変えて血眼になって、地獄の千本ノックにも耐えうるハイパーなモチベーションを手にいれるのだ」
ウ「くっ……寮生活で禁欲を強いられている球児たちにとって、女マネの透けブラなんて、まさに劇薬! あんた、最初からそれを狙って……」
ヤ「それだけじゃない。保冷機能に劣るからこそ、良いことだってあるものさ」
ウ「はぁ? 夏に水分補給を勤めるあたしたちの保冷機能が劣ってたら、意味ないじゃない」
ヤ「やれやれ、やって見せなければ分からないか(ピトッ)」
ウ「ひゃんっ、冷たっ‼ な、何するのよ‼」
ヤ「俺の体を、お前にくっつけただけだ。どうだ、氷入れたてだから、表面が冷たくて気持ちいいだろう?」
ウ「うっ……べ、別に、武骨な金属でできてるあんたの体なんて、全然気持ち良くないわよ!」
ヤ「それにしては、ずいぶん可愛い声をあげていたじゃないか」
ウ「う、うるさいわねっ!」
ヤ「おや? では、もう離れればいいか? 離れていいのかな?(ピトッ、ピトッ)」
ウ「な、あ、いやっ/// どうして……あんたなんて、氷を入れたらすぐ結露しちゃう、欠陥品のくせにぃ……」
ヤ「その欠陥品だからこそ、こうしてお前に新たな刺激を与えることができるんだ。夏の大会は終わったが、九月に入ってもまだ暑い日は続く。これから秋大会に向けて、まだまだお前との逢瀬は続きそうだな。引き続き、仲良く一緒に働いていこうじゃないか(ピトッ、ピトッ、ピトッ)」
ウ「もぉ……バカァ……///」
(関羽、やかんう休題)
……はい、ヤカンって、ほんとに偉大ですね。
いちいちコップに注ぐのがめんどくさくて、冷たいヤカンの注ぎ口と濃厚なディープキスを交わし、麦茶を直飲みして喉を潤していた不良球児はいませんかー?
だめですよ、そんなことしちゃ。
ましてや、ウォータージャグの股座から直飲みなんて……あまりにも絵面がエロティックすぎるでしょう。
いけません、ウォータージャグが、M字開脚してる美人の黒船お姉さんに見えてきました……夏の猛暑によって、脳が焼かれてしまったようです。おいたわしい限り。
ってなわけで、未だに夏の余熱冷めやらぬ、過酷な九月を迎えることになりそうですが、皆さん引き続き、棒アイスをテクニカルに舐めながら頑張っていきましょう!
今日もひんやり図書館で、受験勉強頑張ってる高校生を尻目に駄文を書き殴る煎田でございましたー。ばいちゃー。