こんばにる!
皆さま、殊に東京方面の方はご体調、いかがですか。
昨日は小雨で肌寒くて、夜は上着が必要でしたね。
それなのに今日は照りつける日差しが痛くて。
具合、わるくなっちゃいますよね。
……待て、壱単位。
あなたの声が聞こえます。
貴様、北国の片隅でちいさく生きるものであろう。
なにゆえ訳知り顔でそのように、知りもせぬ東京の気候を。
わたしはじっとあなたを見つめ、それから目元を緩めて、ふ、と息を吐きます。髪を後ろへ送り、横を向きます。遠くを見遣るのです。遠くとおく、はるか東京の地を。
わたし、ね。
行ってきたんだ。
東京。
昨日と今日の、二日間。
あなたは手にしたものを取り落とします。もつれるように足を引きます。わなわな震える頬を隠そうともせず、大きく目を見開いてわたしを指差し、強い声を出します。
な……あり得ない……あの魔都で、あの世界で、貴様が……よわよわ壱単位が、生をつなげる筈がない……っ!
わたしは口角をあげ、目を細めます。あなたに視線を残しながら、くるりと踵を返します。その背にはもう、かつてのよわよわ壱単位の匂いはありません。
凛と立ちながら、あなたに聞かせるためではない声をちいさく呟きます。
あなたがなんと、思おうと。
わたしは、成したのだ。
ふふ。
魔都はもう、わたしのもの。
……。
わたしのものじゃねえよ!
いやいや積雪の時期にね、もう除雪いやだ東京住みたい住みたいよおって何度も言ってたのです。ここでも。ごめん、嘘。撤回。やめとく。無理無理。
ひとはまあ多い列車は混む寒暖差激し過ぎ日差し痛過ぎ何々線とか暗号すぎで、いやほんとにやばいよね東京。そこで暮らす、住みこなしている方々はほんとうにすごい。
……。
それでもなんとか所定の目的も達成して、へろへろと戻ってまいりました。
やっぱり広い空と山と土がないと生きていけないねってなりました。
へへ。
……。
さてそうした中、移動中に鳥尾巻さまからご連絡が。
鳥尾巻さま
https://kakuyomu.jp/users/toriokanなんと!
連載中のおはなしの主人公を描いてみたよ、とのお知らせ!
おりしも絶賛、道に迷い中のことでした。
迷子で半泣き、ファンアートで半泣き。
昨日の東京ではめそめそしながらうろつき回る怪しげな田舎者を長時間にわたり観察することができたのです。
不得手のナイフで整えようとして失敗したばっさばさの髪。
気の弱さと優しさとを湛えて、だけどどこか強い光を宿しているような瞳。
ああ、ハルトくんだあ、って、しばらく呆然としてしまいました。
鳥尾巻さま、ほんとうにありがとうございました!!
ギストラロムドの大剣
https://kakuyomu.jp/works/16818093075494632838