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野辺へ出て参りますと、春先のことで。


ばんにるす。

には。
元気かいな。

さっきからね。
近況書いては、消し。
ついった書いては、消し。
ウィスタさん書いては、消し。
なんだろね、なんかね、怖くて書けない、公開したら、怒られる。
でもまあ、かくよ、適当に。ぬふ。

冒頭のはね、前にも書いたかな、上方落語が大好きで、じぶんでも演じられるのがいくつかあって、愛宕山ってのがあって。
NHKの朝ドラ、ちりとてちんにもなったから、知ってる方も多いであろう。
わたしね、これがほんと、大好きで。
ドラマのとは違うかもだけど、こんな感じ。

野辺へ出て参りますと、春先のことで。
空には雲雀がぴいちくぱあちく囀っております。
下には蓮華たんぽぽの、花盛り。
陽炎がこう、萌えたちまして。
遠山にはすうと霞が帯をひいたよう。
麦が青々伸びまして、菜種の花も彩っていようかという、本陽気。
やかましゅうゆうてやってまいります、その道中の。
陽気な、こと……!

こんな美しい情景描写、わたし知らないのです。
ときどき、描写を誉めていただくことがあります。
でもね、こんなの描けない。
春の野の、あたたかさ、ほがらかさを描くだけで泣かせること、できない。
ほんとに、すごい。

いようかという本陽気から上げて、やっかましゅうゆぅてまいりますその道中の、で、止めて。

ようきな、こと。

わたしね、このことば言うと、ぼろぼろ涙出てしまうから、人前でやったことないのです。いろんなことがあって、ぐっちゃぐちゃになって、だれからも見向きもされない、かといって特筆すべき悲哀もない、千万人に埋もれる、なにひとつ報われることのない、ひと。

それでも。
それでも、そのひとなりのいろいろがあって、ちょっとの笑顔も、ちょっとのいいこともあって、たくさんないて、たくさん膝抱えて。
それでも。

野辺へ出て、歩く。

その道中の、陽気なこと!



19件のコメント

  • すてきな描写!
    落語ってこんなにちゃんと風景を描くんだね。
    しらなかった!
  • すてき。
    知らないことが、まだまだたくさんあるなあ。
  • 落語の世界ってすごいのですね。知らなかった…。
    世界観というか、言葉と語りで見せる凄さ。

    私は食いしん坊だから、センスと手拭きでそばを食べるシーンを見せてくれるだけでも、本当に凄いって感動します。

    日本が誇る芸術だね!
  • 綺麗な描写ですね!
    詩だなと思いました。
  • 壱単位さんのプロローグのどこにやられたかといいますとココです!!


     天が、割れた。

     さかまく巨大な波が視界を覆っていたし、濃い霧と厚い雲がずっと陽光を遮っていたから、海原と空の境界などあってないようなものだったのだ。

     だから、艦長室を出て甲板に降りたオリアスにとっては、吹き付ける潮風を気にする様子もなく船首にたち、両手を空に向けおおきく広げているウィスタを中心に、海も大気も、そうして天も、道をゆずるかのように割れたと、そう見えた。

     ウィスタの燃えるような朱あかい髪が波飛沫のあいだで踊っている。



    この冒頭でガツンと私やられました。
    はー素敵すぎます!!色彩が美しすぎます!

    長文失礼しました( ¨̮ )
  • 落語大好き。
    噺家が聞かせるために練った言葉の世界は本当に目の前に情景が広がるようなのです。

    壱さまワールドに通じるものがあるなあ。
  • picoさん。
    江戸落語も情景は描くと思うけど、上方のは、なんだろ、サービス精神なのかな、くどいくらい丁寧に、見えてるものが説明されてることが多い気がします。
  • しまこさん。
    落語、よいですよー。
    笑いたいとき、泣きたいとき、眠りたいとき。
    オールマイティなのです。
  • 浬さん。
    そうそう、扇子でね、おぅいまなんどきでぃ、ってね。
    芸術だとおもう。
  • ネコ?さま。
    ある意味、詩ですよね。
    それを笑いの文脈の中でやってしまう。
    それを愛した庶民の、なんと教養のたかく、なんと豊かなことか。
  • あまくに みかさま。
    つ、つぎから、みかさんとお呼びしていいですか(駄目
    ありがとうございます。
    冒頭、どのおはなしもそうですが、しっかりそのおはなしの色出そうと思って書いてます。なので、海と空と、ウィスタの髪色。鮮やかに見えたのであればほんとうに光栄です。
  • おかんさま。
    ひとことどころか、音ひとつ、所作一個で、金を取るひとたち。
    ほんものだとおもうのです。
    あはは、わたしに通じるとか言ったら、地獄八景亡者の戯れのそこに、堕とされますなあ。
  • みかさんでも、みかりんでも、み!でも大丈夫ですよ〜笑
  • うなん! みかさん!(転げ回って喜び中
  • はぁ~、素敵だなぁ。知らない言葉の世界です。でも素敵だから良いのです、春の陽気が良いのです。今日は食後にきなこ団子とコーヒーで、僕はこの言葉らに触れていて、すごく幸せになりました( ;∀;)
  • ふくやまさん。
    なんかふくやまさん落語とか好きそうとおもってた。
    どんなふうにドラマチックに描こうとしたって、庶民が愛して、口伝して、職人が磨いた言葉には勝てぬのですよね。
  • 素敵な文章の紹介ありがとうございます。景色が見えるような感じがしたのと……後はリズム感もいいなぁと感じました(*^^*)楽しげなのにどこか懐かしさを感じさせる……確かに泣きたくなるような不思議な感じです。
    春になったら、私も、またこの言葉を聞きたくなると思いました。
  • カエデネコさま。
    お返事おそくなってしまいましたあごめんなさい!!!
    そうそう、鮮やかに情景が浮かぶのにことばのリズムが良くて。思わず口ずさんでしまいます。
    なんとなく、いっぱちしげはち(主人公たち)のようなとんちんかんな庶民でも、嫌なこと辛いこといっぱいあっても、歩いてゆく道は陽気なんだよ、って言ってくれてる気がするのです。
    あ、いままた泣けた……。
  • あ、あとみなさま、文中でこの落語のなまえ、ちりとてちん、ってご紹介したけど、ほんとは愛宕山です。普通に間違えましたごめんなさい!
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