忘れてた。
カクヨム登録したのが2022年12月13日。
エルレアさんの第一話、投稿したのがその日の15:03。
ほう! 半年たってた!
六ヶ月周年おめでとうおめでとう!
ありがとうありがとう!(狂
お祝いに今日は麻婆茄子にする!(好きだから
いやあ、なんか、かけなくてさ。
困ったなあ。
ちょっとリハビリで、ここにおはなし未満のやつ、書いていい?
◇
【短編】花降る里に: 第1話 おヱ弩のはな
おんなは、全裸なのである。
寝かされている卓は、消毒がされている。ひろい、石造りの手術卓。ぬらぬらとあおく、冷たく、ひかっている。
四肢は、革製の道具で厳しくいましめられている。そこには鎖がつながっている。卓の四隅に穴があいており、鎖はそこから伸びていた。
伸びているのは鎖だけではない。半透明の、親指ほどの太さの管が三本、卓のしたから取り回されている。それは彼女の首筋と脇腹、そして手首に、差し込まれていた。管はときおり、脈打った。赤みがかった液体が管の内側で濃淡をつくっている。
部屋はうすぐらいが、天井に刻まれたほそい空気穴からわずかに日光がさしこんでくる。晩春だから、まだ陽がたかいが、それでも暮れの六つくらいではあろうか。
どこからか花のにおいがする。あおくさい、鋭い、だがいのちにあふれた香り。沙奈《さな》はそうした匂いが大好きだったが、いまはあまりそれを楽しむ余裕に恵まれていない。
が、あとわずかで消え去るであろう、ひととしての最期の感覚をあじわおうと、彼女は努力した。
拘束には意味がない、と、沙奈は考えている。
なにしろ、みずからのぞんでここにいるのだ。帯を解いたのも、着物をすべてとりさったのも、あるいは管を接続したのすら、じぶんの手によってなのである。
苦痛によって身を捩り、儀式が失敗することを恐れているのだと理解はしているが、自分の覚悟が軽くみられているようにおもえ、沙奈は愉快ではない。
そのときに、かたちの整った胸の上に刃がつきたった。顔を歪める。麻酔すら断ったから、大のおとこですら絶叫するはずの苦痛が襲っているのである。
刃は、宙に浮いている。八本、ある。だれかが握っているのではない。しかし、熟練した医師が、あるいは料理人がするように、刃は彼女の身体をながれるように刻み続けた。
僧正がずっと、部屋の隅でみまもっている。
心配、しないで。
顔をかたむけ、目でそう告げたが、とどいたかどうか。
わたしは、うれしいんだ。
やっと、超えられるんだから。
沙奈は、肺につきたった刃の感触を味わいながら、しずかに目を閉じた。
儀式が首尾よくすめば、三日三晩、眠ることになる。
目が醒めたときにみえる風景。どんないろを帯びているのだろう。
ひとをやめ、魔としてのいのちを選んだわたしを、世界はどんなひかりで迎えてくれるのだろう。
懐かしい母のにおいが鼻をくすぐったように感じたが、それはおそらく、彼女がひととして最後にみた、夢の一部だったのである。