📕「飯屋のせがれ、魔術師になる。」
(「第4回一二三書房WEB小説大賞/コミカライズ賞(コミックポルカ)」受賞)
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🎬「ハリウッドよ、これが異世界ファンタジーだ!」✨
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📖「第624話 それにしても、敵は誰なのか?」
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346/episodes/16818093088921334715📄その後、目を覚ましたネロにいろいろと尋ねてみたが、誰かに精神攻撃を受けた記憶は残っていなかった。少しずつ、ゆっくりと洗脳されたのか。はたまた抵抗を許さぬほど一気に意識を染められたのか。
どちらにしても油断のできぬ大敵を思わせる。
「団員が洗脳されるとは、ゆゆしき事態だ」
王家と国家の安寧を使命とする王立騎士団の団長として、シュルツの心は乱れた。ネロの精神が何者かに乗っ取られていたとは。同じようなことが多発すれば、国防上の危機ともなりえる。
事はネロの個人的な問題ではなかった。ネロにも断った上で、シュルは団長として精神攻撃の危険を団員に知らしめた。狙われる可能性、部外者の脅威を説き、団員同士が互いの異変に注意することを呼びかける。
「戦場で背中を預ける同僚を疑わなくてはならないとは、不幸な話です」
マルチェルは騎士たちに同情した。しかし、精神攻撃に対する防御手段を持たない以上、相互監視により異常を早期発見することしか対策がなかったのだ。
「幸いウチには備えがあります」
帰ってきたマルチェルたちから話を聞き、ステファノは一番にそう言った。
ウニベルシタスにはステファノが仕掛けた|防御装置《ファイアウォール》がある。放火や爆発などの破壊活動に加えて、精神攻撃も防御の対象としていた。
「王立騎士団にも同じ仕掛けをしてもらうべきでしょうか?」
「そうもいくまい。王宮はどうする? 各貴族領は? 手を出し始めればキリがない」
マルチェルは馴染み深い王立騎士団が「侵入」を受けたことに危機感を覚えていた。他方でネルソンは現実的な限界を指摘する。ステファノが趣旨を説明しても、王宮の隅々に防御具を設置して歩く許可が下りるとは思えなかった。
「|護身具《タリスマン》で要人を守るのが精一杯だろう」
それですらギルモア侯爵家の信用をフル活用してようやくできたことだった。……
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お楽しみください。