📕「飯屋のせがれ、魔術師になる。」
(「第4回一二三書房WEB小説大賞/コミカライズ賞(コミックポルカ)」受賞)
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346+++++
🎬「ハリウッドよ、これが異世界ファンタジーだ!」✨
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📖「第612話 いい答えだ、マルチェル。」
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346/episodes/16818093087240610310📄「アバターは思念体双生児だと考えられるが、特性的にはイドのコピーが人格化したものだ」
ドイルの言葉によれば、無意識の自我であるイドは自己の潜在能力、伸びしろを把握している。アバターはそれを鏡に映した存在だという。
ステファノのアバターが当初から強力に見えたのは、「成長可能性」を可視化した姿で発現したせいだった。
「しかし、実際の力はその時点のイドに等しい。ある意味見掛け倒しの存在なわけだ」
アバターがイドの鏡像だとすると、その像は物質界とイデア界の接点に結ばれている。イデア界に距離や時間が存在しない以上、アバターはイドの誕生から消滅まですべての諸相を代表していた。
アバターが成長の頂点の姿を取っていても不思議ではない。
「ライオンと言われて子ライオンの姿を思い浮かべる者は少ない。象徴として成長した姿をイメージしてもおかしくはないだろう。しかし、なぜ7つの首を持つ蛇なのか?」
強い獣なら色々ある。ライオンか竜でも良かったはずだ。その中で蛇を選んだ理由は――。
「やはり『虹』のイメージに引っ張られたのだろう。『虹の王』と別名をつけたくらいだからね。ステファノは虹は7色を持つと考えたらしい」
古代の東国では虹は巨大な怪物であると考えたそうだ。空にかかるアーチ形の蛇身。
その7色をステファノは魔術の6属性と「始原の赤」と呼ぶ力に当てはめた。
「ギフトの力でイデア界への接続を得た時、ステファノは『6属性』プラス『始原の赤』という彼なりのイメージを得た。それで『7色の虹』が閃いたのだろう」
それからは|虹の王《ナーガ》をイメージすることがイドを練ることとステファノの中では同義になった。
「だとしたらだ。アバターを持たない術者であっても、『イドにイメージを与えればコントロールしやすくなる』ということさ」
したり顔でドイルが説いた。アバターがすべてではないと。アバターがないなら、ないなりの工夫を凝らせばよいではないか。
「なるほど、よくわかります。旦那様の医療魔法を例に取れば、『ヒュギエイアの杯』がアバターに代わるイメージというわけですか」
「いい答えだ、マルチェル。能力の象徴化というアバターの機能はそうやって代替できるのさ」……
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お楽しみください。🙏😊