📕「飯屋のせがれ、魔術師になる。」
🌎
https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346📖第553話 誰でも魔法師になれるという『システム』が問題なのだ。
🌎
https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346/episodes/16818093078773462579+++++
📄「今の段階で『危険な集団』と見なされることは避けねばならない。攻撃魔法を教授する学校にしたら、目立つのは避けられん」
「少人数で始めればそれほどのこともなさそうな気がしますが」
「平民から魔法師を輩出して、目立たずにいられると思うか?」
王立アカデミーは万人に門戸を開いている。学ぶ意志がある者に学びの機会を。それがアカデミーの理念だ。
だが、それは「建前」だった。
入学資格には貴族家からの推薦2件を必要とした。
平民は精々おまけの位置づけにあった。金持ちの道楽。それが平民にとってのアカデミーだ。
対して、ウニベルシタスは身分に制限を設けない。入学試験に合格すれば、どこの誰であっても入学が許される。
平民でも魔法が学べるのだ。
魔術の軍事的有効性がギフトに劣るとしても、数の威力は侮れない。広く平民が魔法を使えるようになれば、貴族制を支えている既存の軍事バランスが崩壊する危険があった。
「誰でも魔法師になれるという『システム』が問題なのだ」
大商会の経営者であるネルソンは、社会を見通す目を持っていた。それはまだステファノにはないものだった。
「それは……武術指導でも同じことでは?」
「貴族にはギフトがある。ギフトのない武術者など、所詮戦略的な価値はない」
戦争とは詰まるところ「数と経済」で命運が決まる。兵士の強弱など、兵員の数で圧倒しうる要因でしかない。継戦能力を支える食料や武器などの私財補給は、軍の背後にある経済力によって決定される。
「武術道場ならこれまでにいくつもあった。数千、数万の武術者を擁するならともかく、10人、100人の武術集団など、所詮小者に過ぎんよ」……
+++++
お楽しみください。