📕第182話 柔研究会事始め。
📕一部抜粋:
右手の指先から側面を床に付けて、背中から身を投げ出した。
昨日見た前回り受け身である。
(ん?)
やってみると、「自分が動く」というよりも引力が体を持って行くという感じであった。
(これは右手を取られて投げられた状態か。体の力を抜けば良いというものでもないな。大きな毬か、輪のようなものになって体全体で衝撃を分散するイメージか?)
自分の足で立って動く「型」や「套路」とはまた違う体の使い方であった。
違和感を修正し、今度は左手を突いて前に回る。
接地面が手先から腕を経由して、肩、背中、腰、そして脚へと入れ替わっていく感覚をステファノは前転しながら噛みしめた。
「そうです。上手いですね。本当に初めてですか?」
「見よう見まねです。大きく回るにはコツがありますね?」
驚きながらミョウシンが褒めると、ステファノは照れ隠しに頭を掻いた。
横受け身、後ろ受け身、前受け身と続けて行く内に、ステファノはふわりと体が浮く感覚をより深く味わっていた。
(これは引力、「土魔法」の領域か?)
……
📕お楽しみください。🙇