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【長め】文章の絶対音感

「神の一皿は勝利を約す https://kakuyomu.jp/works/16817330665296361261 」の改稿原稿を有償講評者さんに送ってきました。
あとは待つだけ……ということもなく、細かな文章のチューニングは自分でやらないとダメな感じなので、ゆっくり休んでいる暇は依然ありません。

具体的に現状どんな感じかといいますと、三人称化にあたって下記の「単純な主語差替え」段階までは終わっているのですが、「チューニング後」段階には少ししか手がついていない状態です。

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【現行バージョン一人称】
 食糧庫から使えそうなものを見繕った。幸い、さつまいもとチーズがあった。そういえば、あの王子さんの食べ物の好みを知らない。これまでは、好む食事ではなく必要な食事を作ってきたから。
 この品で良いのか迷いを感じつつ、俺は皮をむいた芋を水に泳がせた。椀の中でくるくると舞う薄切り芋を見ていると、なぜだか落ち着いてくる。無心に手を動かしていると、余計なことを考えずにいられる。
 芋を煮る。潰す。牛乳を入れて温める。
 立ち上る甘い香りに、俺自身が芯から温まっていくように感じる。


【単純な主語差替え】
 食糧庫から使えそうなものを見繕った。幸い、さつまいもとチーズがあった。そういえば、あの王子さんの食べ物の好みを知らない。これまでは、好む食事ではなく必要な食事を作ってきたから。
 この品で良いのか迷いを感じつつ、ルネは皮をむいた芋を水に泳がせた。椀の中でくるくると舞う薄切り芋を見ていると、なぜだか落ち着いてくる。無心に手を動かしていると、余計なことを考えずにいられる。
 芋を煮る。潰す。牛乳を入れて温める。
 立ち上る甘い香りに、ルネ自身が芯から温まっていくように感じる。


【チューニング後】
 食糧庫から使えそうなものを見繕った。幸い、さつまいもとチーズがあった。今更ながらルネは、エティエンヌの食べ物の好みを知らないことに気付いた。これまでは、好む食事ではなく必要な食事を作ってきたから。
 この品で良いのか迷いつつ、ルネは皮をむいた芋を水に泳がせた。椀の中でくるくると舞う薄切り芋を見ていると、不思議と落ち着きを覚えた。無心に手を動かしていると、余計なことを考えずにいられた。
 芋を煮る。潰す。牛乳を入れて温める。
 立ち上る甘い香りに、己が体も芯から温まっていくように感じる。
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「単純な主語差替え」の段階でも読めはするんですが、正直気持ち悪いんですよね……。
結局、全文を見てチューニングしないといけない感じです。約14万字分。

ただ自分でも不思議なのは、「正直気持ち悪い」の根拠が自分の中ですごく曖昧なんですよね。
上記の例だと、チューニング後に「そういえば~」の文が差し変わる理由は説明できるのですが、「~余計なことを考えずにいられる。」が「~余計なことを考えずにいられた。」に変わる理由って自分でもよくわからんのです。
よくわからんのですが、こっちのほうがいい感じがする。

なんなんでしょうねこの謎感覚……。
自分の中では「文章の絶対音感的な何か」と勝手に呼んでいます。個人的な感覚なので「絶対」音感に例えるのはちょっと違う気がするのですが、「いま音が外れたな?」と理屈抜きに判る感覚には近い気がします。

ちなみにこの感覚は他人の文を読む時にも発動してしまいまして、冒頭少し目を通して「絶対音感が合わない……」と感じてしまうと、それ以上読めなかったりします。
(かねてから「文章の偏食がきつくて、読めないものが多い」と公言しているのは、この理由が大きかったりしています)

文章の絶対音感、すごく謎な何かだと思いますが、他の方々はどうなんでしょうね……。
やっぱり皆さんにも、こういう感覚あるんでしょうか。


そして少しだけですが作業の区切りがついたので、今日は夕食と風呂を済ませ次第、たまった応援コメントの返信をしようと思います。
本当にお待たせしてしまいまして申し訳ありませんでした……。



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【長編/最本命】
神の一皿は勝利を約す https://kakuyomu.jp/works/16817330665296361261
※完結済。ライト文芸部門に参加しています。

【短編】
[書き下ろし]
UNSEEN ENTITY/しょうたいふめいのそんざい(黒歴史エッセイ2) https://kakuyomu.jp/works/16818023211831806763

[旧作&他サイトより転載]
ある同人作家の墓標 ~10年書き続け11年目に筆を折った二次創作同人作家の崩壊記録~(黒歴史エッセイ1) https://kakuyomu.jp/works/16817330652026401936
豚肉の仙人 https://kakuyomu.jp/works/16817330669588846439
灰色の魔法使いに憧れて https://kakuyomu.jp/works/16818023211914819644
推しとの同居は夢見たけれど、こんなの聞いてない https://kakuyomu.jp/works/16818023212086688594
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4件のコメント

  • チューニング後、すてきに流れておられます。ぱっと映像が開ける感じがしました。(大きく変えておられないのに不思議ですね)14万文字は本当に気のとおくなる作業だと思いますががんばってください!応援しております。

    説明のつかない音感は確かに存在すると思います。
  • こんばんは。
    現在形と過去形については私も常に頭を悩ませております(小説は三人称です)。
    当該の比較を拝見していた思ったのですが、一人称だと現在形が自然な感じにフィットしますね。
  • >虹乃ノランさん
    改稿版の所感をありがとうございます。自分で自分の文章の良し悪しってなかなかわからないので、とても助かります。特に「映像」に関しては、私自身は文章を読んでも映像が出ない性質なので、他の方に教えていただくしかないんですよね……筆者が見えていない映像が読み手さんに見えるのって、考えてみれば不思議なことではあるのですが。
    そして説明のつかない音感、やはりあると思われますか……こちらも不思議な現象です。

    なにはともあれチューニングがんばります!!
    週末に全集中モードで走り抜けようと思っています。
  • >文鳥亮さん
    過去形と現在形、日本語だと英語ほど厳密なルールがないので、迷う部分は確かにありますね……私は「なんとなく感覚でしっくりくる方」で突っ走っておりますが、言われてみれば確かに、一人称の方が現在形との親和性は高い気がします。
    一人称の方が「語り手が今まさに何かやってる」ライブ感があるから……とかの理由なんでしょうかね?
    いろいろと不思議です。
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