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感謝御礼

「ちいさく折りたたんで」が完結したときに、ご報告とお礼の近況ノートを書くつもりだったのですが、帰省でどたばたしてすっかりタイミングを逸していました。いまさらではありますが、お読みくださった方々、応援や応援コメントをくださった方々、評価をいれてくださった方々、ほんとうにありがとうございました!

 性格的な問題で、いつも小説を公開するときはたいがいビビリ倒しているのですが、今回特にどう読まれるかということに不安が大きかったので、感想とてもありがたかったです。

 一人称で、娘から見た話なので、父ちゃんの本音がどこにあるのかは、読みながら想像するしかない部分が大きいです。
 わたし自身、脳内で語り手が話しはじめたことをそのまま書き留めて、あるていど写し終えてしまってから整合性を確認するというスタイルで書いているので、登場人物全員の思いを網羅的に把握してから書いているわけではありません。
 なのでわたしにとっても登場人物の心情は、想像して解釈するしかない。読み手の方とあまり変わらない立場です。

 周囲の人物に限らず、主人公の思いだってそうです。一人称であっても、語り手が自分自身の心をすべて分解整理して緻密に説明してくれるわけがなく、本人が自覚していないことは語れないし、語りたくないことも語らない。
 そういう、直接は語られなかったそれぞれの登場人物の内面を、どう想像で埋めて読み解くかは、読む側の体験と知識に依存しています。

 なので、わたしが書きながら主人公やそれぞれの登場人物の思いに対して「自分ではこう解釈した」という読み筋はあるのですが、それを唯一絶対の正解とは思っていません。主人公から父ちゃんへの思いにしても、父ちゃんの心境にしても、主人公の母親に対する思いにしても、母親の心情にしても、姉妹の関係にしても、主人公と瀬尾君の関係にしても。

 とはいえストーリーラインがあまりにも漠然としすぎて、読み終えて「え? オチは?」ってなってしまっても悲しいので、多少の補助線は引いたつもりです。
 その補助線を、途中まではもっと明確に書こうとしていたんです。
 でも推敲しているうちに余分だ、過剰だという気がして、補助線にあたる心情描写や回想を、最終的にはけっこう削りました。もうここから先は読み手の方に託そうと思って。

 それが功を奏したのか、削りすぎて意味が分からなくなってしまっているのかは、読み手の方に届いてみないとわからない。これまで書いてきたほかの小説は、出来不出来はともかく、たいていもう少し解釈がわかれにくいストーリーラインがありました。なので、書いたように読んでもらえたかどうか、描写不足でミスリードをされなかったかの心配のほうがどちらかというと大きかった。
 だから、余白を多めに取って書くという今回の怖さは、あまり慣れているとはいえない種類の不安でした。
 なので、いただいたリアクションのひとつひとつが本当にありがたいです。


 私事というか何というかですが、思いがけない急な人事異動に巻き込まれまして、いま絶賛引っ越し準備中です……
 生活が落ち着くまで、またしばらくまとまったものが書けないかもしれないのですが、なるべくブランク空けすぎないように、できれば年内には何かの形で少しでも活動再開したいなと思っています。
 また読んでやってもいいかなという方がおられましたら、思い出した頃にでもちょっとのぞいてみてやっていただけたら嬉しいです。

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